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    reonnu7

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    TRPG関連とか創作とかFF14とか。
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    なますのつどい

    本人たちのいないところであることないこと言うなますの回、どこ?と聞かれたのでご用意しました。「ねー、二人とも俺以外に友達いないの?」
     すっちゃんがなんの前触れもなくそんな事を言い出した。まーくんがベッドの上に置いてあった大きいぬいぐるみを抱えながらそちらを見る。なっちゃんは視線をテレビに向けたまま見ようともしない。
     
     過ごしやすい秋の昼下がり。何かする訳でもなく三人はなっちゃんの家に集まっていた。1LDKに三人集まるのは結構狭いのだが、すっちゃんもまーくんも何故か家へ遊びに行かせてくれない。そうなると消去法でなっちゃんの役員の為の寮に集まる事になる。女性の家に男二人が居座るのはどうなのだろう、と言う突っ込みを入れられるご近所さんは生憎いなかった。その為買い物や外食がない時は大抵なっちゃんの部屋に集まり思い思いに過ごす。今日もすっちゃんはなっちゃんのネイルケアグッズを片手に爪の手入れをしているし、まーくんは自前で持ってきたノートに何やら書き込んでいるし(覗き込んだが何が書いてあるのかすっちゃんにもなっちゃんにもわからない)なっちゃんは一人でのんびりとMinecraftをしていた。
     そんな中、先程の発言だ。煽っているつもりは無いのだろうが言葉選びに棘がある。彼の話し方はいつだって何故か鼻につく。が、そう言ったことに頓着のない二人は気にしたことが無い。そもそも本人にそのつもりがないのは分かっているし、煽るつもりならもっと腹の立つ事を言ってくるのも知っている。
     閑話休題。
    「まあ、そうだな。俺はなっちゃんとすっちゃん位だな。そもそも避けられるし」
     少しだけ言葉尻を窄めてそう言ったのはまーくんで。
    「いますけど。他に友達」
     視線も向けずに、しかし指だけは激しく動かしながらそう言ったのはなっちゃんだった。ゾンビの断末魔だと思しき効果音の後、ティロンと軽い音が流れる。
     その一言にえ!? とすっちゃんが立ち上がる。机に足が当たって開けっぱなしのリムーバーのボトルが倒れて中身が溢れる。つんとした匂いになっちゃんはやはり目を合わせず顔だけ顰めて溢れてます、と呟いた。
     謝らず、しかしリムーバーを片付けながらすっちゃんは続けた。
    「嘘じゃん。いちばんこの中で友達作れるタイプじゃないじゃん」
    「すっちゃんさんだけには言われたくないです。実際いないのでは」
    「俺はいーのー、立場的に作っちゃいけないし、厄師寺一筋だから」
    「気持ち悪いな」
     まーくんの暴言は、しかし封殺された。ツンとした匂いを指先に染み込ませながらすっちゃんはふふん、と鼻を鳴らす。
    「やばいからね厄師寺、警察前にしたらめっちゃキレる。仕事に支障出るレベル」
    「それ自慢することか?」
    「仕事じゃないときはちょっと面白い」
    「面白いか? それだったら英司さんも面白いぞ」
     突然張り合う様にまーくんが別の人間の名前を出してきた。ゲームの画面から目を離さないまま、なっちゃんは誰ですかそれ、と呟くも全然取り合わない。
    「パソコンの画面が青くなるとすごく慌てるから面白い」
    「え? どこが?」
    「変な声が出てる」
     うんうん、と一人だけ納得したように頷くまーくんに面白く思う場所おかしいでしょ、とばっさり言い切るすっちゃん。その二人を見ながらいえ、二人とも変ですとやはり一瞥する事なくぼやいたなっちゃんの声は届かない。
    「面白いだろ。画面が青くなっただけでおろおろするの。大変なのはわかるんだがそれはそれ、動きも面白い」
    「はんっ、厄師寺なんか警察見ただけで鳴き声みたいに刀かちんかちんさせまくってうるさいから。なんなら抜くから」
    「英司さんは相手の情報が抜ける。武器とかいらないからな」
    「厄師寺は言葉なんて入りませんけど?? 目だけで人の口割らせますけど??」
    「英司さんは実質狙った相手丸裸にするぞ!」
    「厄師寺は存在だけで人殺せるけど!」
    「英司さんはき、きーぼーど? を叩かせたら地面揺らせる!」
    「厄師寺は刀振り回した勢いだけで人が死ぬ!」
    「英司さんは指早すぎて残像見えるからな!!」
    「厄師寺は実質腕四本くらいあるから!!」
    「僕の先輩は存在が騒音ですよ。人の鼓膜なんてすぐ破りますし見た目も騒音なので目も破壊できます」
     白熱しかけたすっちゃんとまーくんのやりとりに、突然なっちゃんが乱入してきた。画面は暗くなっており、NAGIはクリーパーに爆殺された、と表示されている。どうやらやられたらしい。それを皮切りに漸く二人に視線を向けたなっちゃんの目は充血している。先に目を休ませろ、という突っ込みは誰からも入らない。
    「そんなん見た目だけの話でしょ。派手さなら厄師寺も負けないし。頭白いし十字架でかいもん」
    「英司さんだって負けない、目つき鋭くてかっこいいし光る」
    「先輩は下駄で身長盛ってますしそれ以上に態度も大きいですよ。孔雀ですよ孔雀、派手で大きいので」
    「大きくはないけど厄師寺は強いもん。腕四本だよ四本」
    「英司さんは指三十本はあるぞ、残像だけど。神速だからな」
     先輩だって刀くらい使えますけど? もう抜かなくってもなんでも斬っちゃいますけど?
     厄師寺はなんかもう喋っただけでもの切れてるから!! なんなら本人もキレるけど!!
     英司さんは……英司さんは切れないけど殴れると言うか斬ったり撃ったりは俺がするから別にできなくて良いんだ。パソコンぶつけたら人殺せるぞ、多分。
     
     どうしてこうなった。
     一体なんの話をしているんだ。

     脱線に脱線を繰り返し最早道なき道を進んでいるような不毛で意味不明な会話は、すっちゃんの門限一時間前に終わり、唐突に解散となった。
     
     二人が帰った後。それぞれが帰路に着いた頃。ふと三人はこんなことを思った。
     
     
     あれ? 自分の相方はそこまでできたっけ? と。
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