浮奇ヴィオレタは猫だ。
室内で飼われているような従順な猫じゃない。
野良猫の方のな。
たまにいるだろ?野良猫でも甘えるのが上手い奴。自分の居心地の良い所を作っては、その中を転々として一定の場所にとどまろうとしない奴。
それが浮奇。
あの見た目にあの色気、優しい声で誉められて、上目遣いで甘えられてみろ。男はすぐに落ちる。俺もその一人だ。
あいつが俺以外の男とも寝ているのは知っている。俺にそれを咎める権利はない。あいつは俺だけのモノじゃないからな。
ファルガー・オーヴィドは俺の家だ。
寂しさを埋めて欲しくて、ふらっと立ち寄ったバーにたまたまいた男。話しかけた時は素っ気なくてそこが気に入った。そういう人を落とすのってゲームみたいで楽しくない?俺の視線や言動で相手の壁が崩れたら攻略成功。あとはどこでヤるかを決めるだけ。
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