Tea Leaf Reading カップに残った僅かなダージリンを口に含んで、眉間に1本、鼻根に3本の皺を寄せて、舌を出して、お決まりの台詞を吐く。
「にっが!」
「だから無理して飲まなくともミスタにはジュースがあるだろう?」
「ちっげーの」
誂いを含めたヴォックスの提言に、もにゃもにゃと下を向いて言葉を口の中に閉じ込めて、片肘を付いてそっぽを向いた。
タンニン、カフェイン、ポリフェノール。健康に良いとされるそれ等も、過剰摂取すればそれは毒となる。
そして許容量は人それぞれなのだ。特に嗜好品であれば、身体が拒否する物を無理に取り込む必要は無い。
と、最初は思ったものだ。
ヴォックスはゆっくりと眼を伏せて、口角をちょっとだけ上げて笑いながら、肘を付いた手に圧迫されて雛鳥の嘴の様にちょん、と突き出た唇をふに。と親指で押さえた。
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