盟約 抜けるような青空に、薄桃の花弁が舞い上がる。
ひらひらと風に弄ばれたは花弁はふわりと折り重なるように地面に落ち、整備された石畳に彩りを添えた。
以前までは忙しなく聞こえていたイオ10系の走行音。ここ数日はそれも落ち着いている。
車両には全く興味はないが、雑学として知識を得るのは楽しい。
「シュメリア先生がね!」とキラキラした目ではしゃいでいた人物を思い出せば、鬱陶しいという感情と、それを上回る微笑ましいという感覚を思い出す。おおよそ、抱いたことのない不思議な感覚。
それをもたらした人物を思い出し、知らずに口角があがっていたらしい。きゃあきゃあと実に姦しい声が耳を劈いた。
耳障りな声の方には女子生徒が数人たむろしていた。各々糊のきいた制服を着用している。彼女らは新入生だろう。
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