シナモンオレンジ「シャディク! わたしと勝負しなさい!」
ひとつ年下の幼なじみが何かしらの勝負ごとを仕掛けてくるときは、あの薄い腹の内に何かしらの企みごとを含ませているときだ。
「わたしが勝ったら、わたしのいうこと何でも聞くのよ」とミオリネが持ちかけてくるのは、ときにカードゲームだったりときにボードゲームだったり日によってまちまちだが、対戦成績は今のところほぼイーブン。つまり、百発必中で彼女の目論見通りにことが進んでいるというわけでもない。二回に一回――少なくとも三回に一回は、彼女は敗者にまわり、企みごとは口に出されることなく次の勝負へ持ち越される。
俺にできる範囲であるならば彼女の望みはできるだけ叶えてあげたいと思うし、負けることは容易いけれど、勝負に手を抜こうものならミオリネは途端に不機嫌になることも知っているから(たまに『あんたが勝ったらあんたのいうこと何でも聞いてあげるわ』なんて条件が付加されるものだから)、なかなかどうして一筋縄ではいかないものだ。
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