とっておきの気持ちを込めて「よかったのか、これで」
ノリノリで連れてきておいてなんだが、実際のところずっと落ち着かない。
「僕、ほんとうにお嫁さんになっちゃうんっすね」
「お前、えらく機嫌いいな」
故郷に帰ってきた日、父親に直接報告した。もともと事前に伝えていたので否はなく、はれてニキとの婚約が了承された。
「だって今までは、周りに認めてもらえないからって拒んでたところがあったけど、そういうのがなくなったらなんの壁もないっていうか、だからもう嬉しくて」
こちの衣装を身にまとい、ウキウキした感情を隠さないところがかわいいと思ってしまう。
「じゃあ、ちょっと話があるからここで待ってろ。お茶うけは好きに食べていいから」
「え、こんなにいっぱい僕一人で食べちゃっていいんっすか」
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