ハッピーセットでハッピーエンド「ココ、マック行こうぜ!いまのハッピーセット、ポケモンなんだ!」
土曜日、オレの家に来るなり、イヌピーはふんすふんすと力説した。この事態はあらかじめ予想していた。なにしろハッピーセットで、しかもポケモンだ。そろそろイヌピーが来る頃だろうとお小遣いの準備もしてあった。
「まぁ、寝癖くらい治して行こうぜ」
「寝癖じゃ死なねぇ」
「オレが恥ずかしいの」
座って、と言うと、イヌピーはおとなしく俺の前にぺたんと座る。イヌピーの髪はふわっふわのねこっけだ。オレとはぜんぜん違う。櫛で梳いてやったが、今日の寝ぐせは厄介だった。
「イヌピー、あらいっぱで寝ただろ。治んねーよ」
鏡を覗き込んで、イヌピーはむっとした顔をして、「サイシュ―ヘーキだ」と言って、ポケットからヘアピンを取り出した。たぶん赤音さんのものであろうピンでどうにか髪を止めようとしている。
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