失念 光の戦士と呼ばれるヴィエラから、数歩引いた所でルガディンは佇んでいた。依頼を終えた彼女に礼を述べ、ささやかな品を差し出した住人ににこやかに応じていた彼女が大きく手を振りながらこちらへ駆け寄ってくる。
「見て!果物くれた!!」
「良かったな、後でもらおう」
美味そうだと微笑んだ彼の左肩の上で、妖精も嬉しそうに羽を震わせた。
「……てかさっきの戦闘、ちょっと無茶したでしょ」
彼女から荷物を受け取り、なんのことやらと彼は首を傾げる。
「迅速魔のリキャストより詠唱早かったもん」
「ルインラは無詠唱で撃てるんだ」
間髪入れず返してきた彼に彼女は頬を膨らました。
「あの威力はルインだったもん!」
付き合いが長いだけあって、その辺りの見極めができるようになったか。彼は微かに口角を上げる。
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