犬/しつけ 腕を掴まれたやって来たのは実弥のアパートだった。
義勇はジャージのポケットから合鍵を出すとガチャガチャとドアを開け、無言で中に入る。
「…え?なんでェ?」
ぽめらにあんは留守番できるのか、と聞いたのはー
「ぽめらにあんはどこにいる」
実弥の顔を見ずに義勇は言う。
「…寝室ゥ」
寝室にケージを置いて不在時はそこに入れている。
「わかった」
勝手知ったる部屋の中をその家主の腕を持ったまま入り、寝室のドアを開ける。
突然の帰宅に寝ていた犬はぴくんと起き、実弥の顔を見ると嬉しそうに黒飴のような目を輝かせる。
「悪いが出せない。…いや、お前も見ているといい。今からお前も実弥もしつけてやる」
ケージ越しに義勇はぽめらにあんに言う。
6982