何かの終わりと始まりとE
会えるかもしれない、と思った。
触れたコインが、金属なのにほんのり温かく感じたから。
若干の着替えと食料とをつめた荷物は、武器となる機械類と剣のおかげでかなりの量になっていた。
旅の準備を整えて、横になったベッドで目を閉じる。
顔を思い浮かべて、それが10年前の姿のままなのが当然なのに不思議な感じだった。
今どうしているのだろう。
別れの前の最後の表情は、泣きそうな顔で、でも無理やり笑顔を作っていた。
「ロニ……」と言った後につぶやいた言葉は耳に届かなくて、でもすぐに背を向けて走り出した弟に、聞き返すことができなかった。
でも、あの時も絶対にまたいつか会えるとそう思ったから、呼びとめなかった。
その背中に背負った荷物は、とても小さく。
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