デスドライヴズ仲間入りif『はんッ!アンタがブレイバーンのルルゥー??随分とまぁちんちくりだこと、アタクシ達を仲間にして何したいか知らないけれどスペルビアみたいに甘くないと思って頂戴ねェ?アンタみたいに地味なやつアタクシ付いてく気になれないのよォごめんなさいねェ?』
『あぁ何と悲しき事よ…矮小な人間側に付くとは…ペシミズムの願いはいつ叶えられるというのか…嘆かわしい…』
となっていたのが1週間前のこと。
繰り返す時間の中で、んじゃもう強そうなやつ仲間にしていこうぜとブレイバーンに相談しやってみようと言うことになり試してみたらびっくり普通に仲間入りしてくれたのだ。まぁやや苦言はチクチクとスペルビアとクピリダス以外には言われたが。
だが今では
『イサミぃいぃっ!!んもう聞いてよ!!ブレイバーンったら爪切れってうるさいのォ!スペルビアは許してるのによ?!』
「長すぎるから…ん?なんかゴテゴテしてるな?」
『うふふふ〜、やってもらったのよォ!アタクシ見たいな爪のことをネイルって言うんですって、綺麗よねェ…!ミユっていう子に、やってもらったの!あの子すごいわねェ』
「カトウ3曹か、機械方面なら一番くらいになる腕だからな。良かったじゃないか、綺麗なの好きだったよな?たしか」
『えぇ!この星にしかないのが多くって楽しいわ、ブレイバーンに誘われたのは癪だけれど』
「なら良かった…ヴァニタス、爪長いから気をつけろよ。結構ここ引っかかるところ多いから』
『ふふっ、ミユとスペルビアからも言われたわ!ありがとうイサミ』
つんつんとほっぺたを突かれて、ふよふよと甲板の方へ向かったヴァニタスの背を見つめる。
そして俺は今まで会ってきたデスドライヴズ達を思い出しこう思った。
みんな距離詰めるの早すぎる…と。
セグニティスまで仲間に引き込むことができた俺たちはしばらくデスドライヴズ達と交流を深める期間を定めて
進行を一旦中止していたのだ。
ただまあなんというか思ったよりも仲良くなりすぎて逆に怖い、ちょろすぎる。
因縁のイーラやまだ不明のポーパルチープムはどうなるのか…。おそらくイーラは難しいだろう、倒すしか方法がないかも。
ポーパルチープムに至っては会う前にイーラに殺されてしまっているためセグニティス以上に未知数だ。
どうしよう、イーラもめっちゃチョロかったら。
嫌だ…強敵として認知しているのに蓋開けたら対話で呆気なくというのは正直複雑すぎる。
するとぬっと周りが暗くなり後ろを振り向く。
「びっくりしたペシミズムか」
『うむ、何やら思い詰めた顔をしておった…ペシミズムに解決できそうなことだろうか?』
「あぁ、えっと…イーラとはどうなるかなと」
『悲しい…あやつは怒りでイカれている者だ…対話は難しいかもしれん…ガミデズムがあれば良かったのに…』
「がみ…なんだって?」
『最後は吐き捨てることが推奨されているものだ、最初は甘く味があるが噛むうちに味が消え飲み込む事すらされずに捨てられる運命の悲しきものである』
「…ガムみたいなもんか?」
『なんだ、この星にも同じ略称で親しまれておるのだな?』
どこの星でもガムってあるんだ…そしてこいつら食うんだ…いや食うか…スペルビアめっちゃ食ってたしな。
「なんだかお前らと話してると不思議だよ、意外と宇宙のそういったものが近しいなんてな」
『そうであるか、だが孤独になりやすい悲しき所よ。ペシミズムは地球にいたいが…嘆かわしい、ここにいる皆はペシミズム達よりも長く生きることが不可能である…別れは淋しく痛い…あぁなんと悲しいことなのか…』
「ペシミズム…」
『だから嫌なのだ、恒久的な生しか行えぬ我らはなんと悲しい存在か…死すら娯楽になってしまうほどに…クーヌスが母艦を破壊したおかげでこの身は一つになったがそれでも寿命とやらはあまりにも長く灯っている…』
「んじゃ俺らが死んだら地球の護衛でもやっててくれ」
『…なんと悲しき事よ、断れないのを知って頼むとはイサミは意地悪である…ペシミズムは悲しい…ぴえんである』
「誰から習ったそれ…」
『女隊員達からである、悲しい事はぴえんとも言い換えられると…』
「うーん…多分それな間違いじゃないんだけどペシミズムが思ってるのとは違うかも」
『え、そうなのか…?』
そんな他愛無い話をしていればブレイバーンがやってきた。
『い、イサミなんか仲良しじゃないか?』
「え?そうか?」
『気のせいであろうに、嫉妬は悲しく醜いものぞブレイバーン』
『いや、嫉妬というか、あの君ら私と態度違くないか』
『気のせいである』
『えぇ…』
「なんか…もしかして仲悪いのか?」
『そんな事はないぞ、イサミよ。仲良しである』
『そうだよなー!!なら必殺技の語らいでもっ!』
『ペシミズムはこのあと用がある、さらばだ』
「きらわっ、えっと…まぁ用事なら仕方ない、なうん。
『…イサミ、時に気遣いは1番残酷な刃物だ』
悲しそうな背中を見上げて、よしよしと足の甲を撫でてやる。ずーんとしょぼくれたブレイバーンを慰めてやり1日が終わった。
どうやらブレイバーンはちょっとみんなからは距離を置かれやすいのかもしれない。気持ちはわかる。
クピリダスやスペルビアは好意的だが他の3人はなんだか距離がある。セグニティスは……、……。
…そういえばあいつ仲間になってからどこにいるんだ…?
まぁいいか、騒ぎになってないなら迷惑かけてない証左だろう。タイミングが合えば交流してみよう。
『あぁあかん…また話せへんかった…ワイの阿呆…。仲良うなるチャンスやったのに…そしてみんなからの誤解解けるチャンスやったのに。嫌や…イーラに対して最終兵器と頼られとうない…ワイはみんなを見送ってその様子見ながらねんごろする決めてるねんからッ…!!』