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    kk_69848

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    恋愛感情の自覚の無い蔵種
    ラウワンコラボネタ
    白石の全身が判明次第続きを書きます
    (続きはピクシブに掲載予定です)

    ラウワン蔵種(前編)U17-W杯が終わった。
    空港ではほとんど皆、成田行きの便に乗ったから、関空に向かう俺らは少し寂しかったけど。別れ際にコーチから、品川行きの新幹線のチケットを貰た。
    「一週間後に東京で、スポンサーも集まる祝勝パーティーが開催されます。無理にとは言いませんが、都合が合えば是非」
    「パーティー? それってたこ焼き出るん?」
    「楽しそうやな。他の代表合宿のメンバーも誘ってええですか?」
    「それは、勿論」
    「世話んなったお人にも、土産を持って行けるのう」
    「なぁなぁ、お土産ってたこ焼きやろ?」
    「はいはい、分かった分かった」
    俺はオサムちゃんと、他の四天宝寺のメンバーにメッセージを送った。パーティーがあるからその日までに、船かっとばして帰ってくるんやでって。

    パーティー当日、俺と金太郎と銀は、新幹線で品川に向かった。オサムちゃんの船は、今日直接東京湾に到着するらしかった。
    会場は思った以上に立派な建物やった。一応はフォーマルな会やから、制服で来てほしいって言われとったんやけど。いざ着いたら、高校生は誰も制服なんて着とらへんかった。さすが高校生、型にはまらへんわ。その上驚いたのが、なんと手塚クンも参加しとることやった。
    「手塚クン、帰国しとったん?」
    「あぁ、家族に顔を見せろと言われてな。ここに来るつもりは、なかったんだが……」
    「いえいえ、この会は代表合宿参加者全員のものですから。手塚クンにも来てもらわなければ」
    後ろから元青学部長、大和先輩が顔を出す。
    「俺は、ドイツ代表なのですが」
    「まぁええやん。折角やし楽しもうや」
    そうこうしとるうちに、パーティーは始まった。お偉いさんの挨拶から始まって、スポンサーなんかテニスの関係者なんかよう分からん人達から、何度も同じような内容で話し掛けられて。その度に「頑張りますわ」とか、「ええ経験になりました」とか言わされて。結構面倒やな、早よケンヤ達来んかなって思っとったけど。全然来ん。
    ホンマに来んくて、もうパーティー終わってまうぞって思っとったけど。最後の最後、また長いお偉いさんの挨拶の途中で、急に扉の後ろがざわざわし始めて。扉がバーンと開いたかと思ったら、ケンヤが一番に滑り込んで来た。
    「浪速のスピードスターの方が、先やっちゅー話や」
    「先ちゃうわ。もうパーティー終わるで」
    「何でや。船の上で、めっちゃ走っとったのに」
    「意味ないて、それ」
    ほんで他の皆もどやどやと入って来て、かなりの人数やったからさすがに迷惑やろかって思ったけども。大人からしたら中学生ってのは可愛いらしく。残っとったご馳走、食べろ食べろって食べさせられとった。

    それからすぐパーティーは、一応はお開きという形になった。到着したばっかりの奴らは、まだまだ騒ぎ足りないみたいで居座っとったけども。俺はもう十分楽しませてもろたから、とりあえずはロビーに移動した。そしたらすぐに、見知った顔を見付けた。
    「種ヶ島先輩っ」
    「ちゃい☆」
    俺がW杯でお世話になった、種ヶ島先輩や。俺が駆け寄ると、先輩が軽く手を上げた。
    「あれ、先輩って何処に居りました? 今日初めて見た気ぃします」
    「今来たとこやもん。 自分とこの監督の船に乗せてもろて、皆で来たんやで」
    「えっ、オサムちゃんの船で帰ったんですか?」
    種ヶ島先輩が飛行機が苦手なことは知っとったけど、オサムちゃんの船に乗っとったやなんて初耳やった。
    「せやで。普通の船やと直行便とか無いからなぁ。ほんまに助かったわ」
    「へぇ、そうなんですね」
    船便についてはいまいちピンとこんかったけども、オサムちゃんの船が役に立ったんなら良かったわ。
    「もうパーティー終わったんやろ?」
    「あー……。そう、ですね」
    さっきまではご馳走も残っとったけど、多分今はもう無い。
    「ほな二次会行こか」
    「え、二次会ですか?」
    二次会とか大人みたいなこと言うわと思いながら、俺は会場の方を振り返った。
    「ほな、皆を呼んできますわ」
    「そんなん二次会ちゃうやろ。大勢やったら行ける店も限られるし、ここにおる奴らだけでええやろ」
    「ここに居る人らですか?」
    「え?」
    「ボクもですか?」
    種ヶ島先輩の声が聞こえとったみたいで、周りに居た人達が一斉にこっちを見る。さっき話した大和先輩に、手塚クン。それから毛利先輩に越知先輩。跡部クンに幸村クン、徳川先輩と越前クンや。
    「あ、えーっと、皆さんどうですか?」
    「二次会って、何処にです?」
    「ボウリングとかどうや?」
    「ボウリングかぁ」
    「ええんとちゃいます?」
    「いいんじゃない? せっかくだし」
    最初は微妙なメンツかなって思ったけども、皆すんなりと同意してくれた。同じW杯を戦った仲間やし(大和先輩と手塚クンは日本代表ちゃうけど、気持ちの上では仲間やし)、何だかんだで仲がええんやと思う。絆ってヤツやな。
    「ほな、行きましょか」
    そうは言ったものの、よう考えたら土地勘が全く無かったんやけど。毛利先輩が先導してくれて、俺らはバスに乗ってボウリング場へ向かった。そこそこ遠かったけども、遠足みたいにわいわいしながら。

    「はい、着いたわ」
    「うわ、めっちゃデカい」
    「全部ちゃうで。ここの6階や」
    毛利先輩は「それとも5階やったかな?」とか言いながら、施設に足を踏み入れた。それに俺達がぞろぞろと続く。エスカレーターに乗って、降りて、また乗る。人が多いから迷子になりそうかと思ったけど、みんなデカいからその心配は無さそうや。
    「あのさ」
    「っとと」
    徳川先輩の影から越前クンが現れた。あかんあかん、完全に忘れとったわ。
    「ここって、クレーンゲームとかある?」
    「えっと、ありますよね?」
    先頭の毛利先輩に尋ねれば、満面の笑みが返ってきた。
    「あるある。めっちゃあるで」
    「ちょっと、やりたいんだけど」
    「越前クン、クレーンゲーム好きなん?」
    「別に。ただ、ヒマラヤンのぬいぐるみがあるって聞いたから」
    「へぇ、ええな。ほな皆で行こか」
    そういえば合宿の時に、越前クンが猫を飼っとるって聞いたことがある気がする。俺も猫飼っとるし、ちょっと興味あるわ。
    「やだ。うるさそうだし」
    「ええっ、そないはっきり断らんでも」
    「では、俺が付き添おう」
    「徳川先輩」
    「ゲームセンターでは、恐喝などの犯罪行為も多い。越前一人では危険だ」
    「は、はぁ」
    繁華街ならともかく、こういうショッピングモールやったら犯罪とかも少なそうやし、警戒しすぎやろって思ったけども。越前クンも「徳川さんなら」なんて言うて、二人でさっさと先に行ってしもた。
    「終わったら、合流してくださいね」
    「っス」
    越前クンが軽く頭を下げる。やれやれ。一息ついて視線を戻せば、毛利先輩がこっちを見てにやにやしとった。
    「白石、振られたな」
    「うるさいですわ」
    「ま、ええんとちゃう? 別にボウリングにこだわらんでも、俺らやってカラオケとか行ってもええし」
    「カラオケ、ですか」
    エスカレーターは丁度、ボウリング店の前まで延びとった。入り口にはでっかい看板があって、ボウリング、カラオケ、アミューズメント、などの文字が並んどる。俺らはエスカレーターから降りて、邪魔にならんとこに一旦集まった。
    「カラオケどうです? 月光さんの歌声、聴きたいですわ」
    「さして興味はないが……、タンバリンの貸し出しはあるだろうか?」
    「めっちゃ興味あるやないですか」
    「あーん? 面白い。俺様の美声に酔いな」
    「俺も丁度、飲み物をゆっくり飲みたいと思ってたんだよね」
    みんなうんうん頷いて、このままカラオケに決まりそうな流れやった。そしたら後ろにおった大和先輩が、慌てて前に出て来た。
    「ちょっと待ってください。今日はボウリングじゃないんですか?」
    確かに最初はそういう話やったから、ボウリングがやりたい人もおるやろう。
    「俺もそのつもりです。いざという時の為に、ボウリングの腕も磨いておきたい」
    「手塚クン…よかったです。マイグローブを持ち歩いていた甲斐があるってものですよ」
    「な……、あなたもですか?」
    何か嫌な思い出でもあるのか、手塚クンが青褪める。えーっと、しかしこうなると……。俺は状況を整理した。
    越前クンと徳川先輩はクレーンゲーム、毛利先輩と越知先輩、跡部クンと幸村クンはカラオケ。大和先輩と手塚クンはボウリング。
    カラオケは大きい部屋が空いてへんかもしれへんし、ボウリングは二人じゃ寂しいやろう。残った俺と種ヶ島先輩がボウリング組に入れば、無駄のない完璧なチーム分けや。
    そう思って種ヶ島先輩の顔を見ると、先輩もキラキラした瞳で俺を見とった。まるでシンクロみたいや。俺ら、通じ合っとる。
    「ノスケ」
    「種ヶ島先輩」
    しかし種ヶ島先輩の口から出て来たのは、全く予想外の言葉やった。
    「俺、セグウェイ乗りに行ってええ?」
    「─えっ」
    「スポーツコーナーにな、セグウェイ、あるんやって」
    「え、や」
    俺はびっくりして舌が絡まって、全然上手く喋られへんかった。『種ヶ島先輩がボウリングって言い始めたんやないですか』って言葉が、口ん中に詰まって出て来おへん。
    それなのに他の皆は、「種ヶ島さんらしいですね」って、全然気にしとらん感じやった。うーん、自由や。
    「ほんでノスケはどないするん?」
    「え? 俺ですか?」
    俺はほんまに何でもええんやけど。気が付いたら皆に囲まれとった。
    「ノスケもセグウェイ、乗りたいやろ」
    「俺様がデュエットしてやろうか?」
    「ボウリングチームは、いつでもお前を歓迎する」
    「白石、携帯鳴ってるよ」
    「や、俺は……」
    俺はほんまに、何でもよくて。
    「ノスケ」
    「白石」
    「白石」
    『白石ーっ』
    俺は、俺は……!


    1.カラオケに行く
    2.ボウリングに行く
    3.電話に出る
    4.クレーンゲームをしに行く
    5.セグウェイに乗る
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