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    kk_69848

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    ラウ◯ンのスタンプカードネタです
    (蔵種/幸寿/リョ徳)前提

    スタンプカード蔵種「幸村クン、ちょっとええか?」
    客室の扉を開けると、室内には幸村ともう一人、小柄な少年の姿があった、
    「あ、越前クンもおったんか」
    「……っス」
    「どうしたんだい白石、何か用かい?」
    「あー、せやなぁ……」
    微笑む幸村を前に、白石は言い淀んだ。選手タウンで幸村は、同じ中学生3年生である跡部と同室だったはずだ。跡部になら聞かれてもいいと思っていた話も、中学1年生の越前の前では違ってくる。
    「俺、邪魔っスか?」
    しかし聡い越前は、すぐに白石の思惑に気付いたようだった。
    「や、邪魔ちゃうんやけど。越前クンにはまだ早いかなぁて」
    「子供扱い、止めてほしいんスけど」
    「ふふ。ボウヤはこう言ってるけど、どうする? 白石」
    「うーん、まぁええか」
    越前は生意気なルーキーではあるが、平時はクールな少年だ。そう、どこかのゴンタクレと比べれば、随分と大人びている。
    「実はな、幸村クンに相談したいことがあるんやけど」
    「いいよ。テニスのこと?」
    「や……、恋愛相談なんやけど」
    「えっ」
    幸村が驚きの声を上げた。無理もない。W杯前の合宿で同室だった白石と幸村は、他校生にしては随分と親しくなった。だが、このような個人的なことを相談するのは初めてだった。しかし他の誰でもない幸村に相談する理由が、白石にはあった。
    「ほら、俺な、付き合うてる人が、あれやから」
    「あぁ」
    白石は、同じU17-W杯で日本代表選手である、同性の種ヶ島と付き合っていた。そして幸村もまた、代表選手であり同性の毛利と付き合っているのである。
    「でもそういう話だったら、ボウヤの前では……」
    幸村が、チラリと越前の顔を窺った。
    「別にいいスよ。俺も、男の先輩と付き合ってるんで」
    「えっ、そうなん?」
    「相手は? 誰なんだい?」
    種ヶ島と毛利はオープンな性格である。この二組が付き合っているのは周りに薄々勘付かれてはいるが、他にもカップルが居るとは初耳だ。
    「徳川さんスけど」
    「うわっ、そうなん? 知らんかったわ」
    「毎日練習してたのに……。徳川さん、水臭いな」
    これまたクールな高校2年生の徳川と、越前がどのようにして付き合うに至ったのか。興味はあるが、本題はそれではない。
    「はー、ほな気ぃ遣わんでもええか。や、付き合うてるとな、その、一線を越えることとかあるやろ?」
    「ちょっと白石、ボウヤの前でそれはまずいよ」
    「別に。俺も経験あるんで」
    「えっ、そうなん?」
    この生意気なルーキーは、そちらの方面も早熟らしい。
    「うわ……、聞きたくなかったな」
    「まぁそれもそうか。アメリカ帰りやもんなぁ」
    「アメリカは関係ないし」
    「ほんで幸村クンの方はどうなん?」
    「まぁ相手は高校生だし、それなりにね」
    「せやんな。ほんでな、悩んどるのはその、回数が多すぎるんちゃうかなって。あんまりそればっかりになってもあかんやろ?」
    「うーん、そうだね。負担にもなるし」
    「せやけど、向こうがしたがっとるのに無下にも出来へんし。帰国したら今みたいには会えへんって思うと、俺も止まらん時あるし」
    「へぇ。白石さんもそういう感じなんだ」
    「こーら、茶化さんといてや。ほんで幸村クン達はどうなんやろって、聞きに来たんやけど」
    「どうって言われても」
    「頻度とか、どれくらいなん?」
    「それは……、白石はどうなんだい?」
    幸村は言い淀んで、質問をし返した。幸村一人の話ではない。軽薄に話すことでもないだろう。
    「ウチはなぁ、まだ付き合うて日も浅いのに、もう5回もしてしもた」
    「ふーん。こっちは6回。俺の勝ち」
    「さすがやな、越前クン」
    「で、アンタは何回?」
    「……ボウヤより、少し多いくらいかな。でも、これは勝ち負けの話じゃないよ」
    「ま、そっスね。回数より中身だし」
    「中身て……やらしいなぁ」
    「白石さんが言い始めたんじゃないんスか」
    「や、せやけど、越前クン達がそない早いとは思わへんかったわ。体格差とかも、かなりあるやろ?」
    「ちょっと、白石」
    「幸村クンかてどうなん? ひょっとしてもう─」
    「変な詮索はよしてよ」
    「やって気になるやんか。何回目くらいから、舌とか入れてもええんやろ、とか」
    「え、舌?」
    「舌。興味ないん?」
    「舌を、何処に入れるんスか?」
    「ん? 口やけど?」
    「口?」
    「……」
    三人は黙ると、それぞれの顔を見て様子を窺った。
    「えーっと、ディープキスってことやけど」
    「あー……、っス」
    「うん、そろそろ解散しようか。明日も早いし」
    「ちょお待ってや、何の話しとったん?」
    「何って、キスの話だろ?」
    「ほんまに? ほんまにホンマ?」
    「ほんとほんと」
    白石は越前と共に、幸村に諭されるように、部屋から追い出された。訳も分からず、隣に立つ越前の顔を見れば、生意気そうではあるがやはり幼い。ファーストキスすらまだだと言われても、誰もが皆、信じるだろう。
    「キスの話、やんなぁ?」
    白石は、独り言のように呟いた。
    「白石さん─」
    越前は不敵に、いつもの馴染みの口癖を言った。
    「まだまだだね」
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