遠く燃える星を横目に語りかける。
「今の私は、貴方が惹かれたような人間じゃない。」
「そうかもな」
「もし私が貴方の立場で、かつて羽ばたくその姿に憧憬を抱いていたなら、もはや飛ぶことはできない抜け殻のようになった男にはせめてとどめを指すだろう。」
「生憎俺はそこまで潔癖にはなれない。」
「君は人が良すぎる。」
「少なくとも気に入った相手にわざわざ害をなす趣味はない。まぁ死にたいなら止めはしないがな」
「貴方に殺してほしいんだ」
懇願ではないそれを訴える目は据わっていた。この期に及んで未だに命を燃やし尽くさんとする彼の、最後の悪あがきの様なものだろう。
「見るに耐えない。灰さえ残さないつもりか」
「……」
「やらない。死ぬなら勝手に死んでくれ。その苛烈を求めるな。俺がせめてできることがあるとすれば…」
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