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    skhktnk_nzm

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    ぶるぶるローズやば……と思って導入だけ書いた

    「ん。いい感じだ。」
    スプーン1口味見をした真木晶は微笑んだ。ここは魔法舎、ぴかぴか銀に光る鍋や黒くて少し重たいフライパンが並ぶキッチンで、ふわりと甘い香りが日差しの合間を漂っている。火の前に立つ晶の手元では半透明のバラがふるえつつ、きらきらとした光をたたえている。その見た目の通りぶるぶるローズと呼ばれるこの食材は、梅雨の時期にしか収穫されないらしいのだ。そんな旬の食材を賢者の魔法使いにも堪能してほしいと考えた晶はキッチンで2時間ほど孤軍奮闘、ローズのテリーヌに挑戦していたところであった。その甲斐あってか魔法の鍋の中には美しい薄紅色がのぞいている。ようやく完成した1品は彩りも断面も美しく、理想の出来と断言したっていいだろう。焦げてしまったり、形が崩れてしまったり、硬すぎたりした失敗作が隣に並んでいることさえなければ、何から何まで本当に満点だった。テリーヌはお腹を空かせた誰かに振る舞うとして、問題は失敗作をどうするか、だ。丸い皿に積まれてこんもりと小さな山を形作っている。
    「うーん……たぶんすごくまずいことはないんだろうけど……」
    しかし、食べるなら美味しく綺麗な方を食べてほしい。幸い、1人でも食べきれない量ではないだろうと判断して、フォークとナイフの入っている引き出しを開く。たとえネロの作ったメニューであったとしても、今日の夕飯は少しだけ量を控えようと決意しながら。

    たったそれだけだったのに、まさかこんなことになるとは。
    ちょうど半分くらい片付けて、少しだけ味に飽きてきたような気がしたのでソースか何か探そうと席を立ったところだった。戸棚の取っ手と爪がぶつかってかたんと音を立てた。
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