「――ゲームセット!ウォンバイ……ビョードーイン!」
デュークの口は、実に滑らかにこの言葉を宣言していた。毎日のように言っているのだから当然ではあるが、こと今日に至っては、朝からずっと言い続けていたのであった。デュークは平等院が1日で倒した人数を数えようとして――両手の指を使っても足りなくなったあたりで、無意味さに気付きやめてしまった。無残に散っていった者たちのことなど、考えるだけ時間の無駄なのだから。
平等院とデュークが今回訪れた街は、どうやらテニスの盛んな地域のようだった。あらゆるところにテニスコートが点在し、周辺の住民や観光客は自由にテニスを楽しめる。……とは旅行雑誌などに載る建前だ。実際はギャングや"それ以上"のヤバいテニス自慢の野郎どもに占拠されてしまっているのだ。それぞれの派閥に分かれて熾烈に縄張りを競い合い、血で血を洗う試合が日々行われている……。
2231