お題【疲れた】今週の授業を終え明日の休日は何をしようかと考えながら廊下を歩いている伏。突然後ろから何かに服を引っ張られ、振り向くとそこには制服の裾を摘んで立つ乙の姿が。目の前に近づくまで気配すら感じなかった。だがドス黒いほどの暗いオーラに目は虚ろ。「疲れた」とだけ呟き俯く先輩の姿にこれはヤバいやつだと判断した伏は乙の手を引き自分の部屋へ急ぎ足で向かう。部屋に入り扉を閉めた瞬間、乙から抱きしめられる伏。無言で涙を流す乙に限界が来たんだなと察した伏は背中を撫でながら乙を慰める。
しばらくして乙が落ち着いてきたら中へ通し、部屋着に着替えてくださいと自分の部屋着を渡す。力なく刀袋を下ろし服を脱ぐのを見守って、自分は布団の準備をする。チラッと乙を見ると上着を脱いでさらけ出た背中は汗ばんでいるのか、少しだけ光沢があって思わず見惚れてしまう伏。良からぬことを考えている自分に気づき首を振ると布団を綺麗に整える。
着替えた乙にご飯食べるか寝るかを聞くとすぐに寝るというので布団に寝かせる。疲れた顔で弱々しい視線を向けてくる愛しい人におやすみのキスをして眠るように促す伏。不安そうな瞼が閉じたのを確認して乙の着替えを片付ける。制服をハンガーにかけ、Tシャツを手に取ると少ししっとりとした質感に汗かいていたんだなと気づく。乙の匂いと汗の匂いが混じっていつもより強く乙の香りを感じ、しばらく堪能していたいと思う伏だが今日はそれどころじゃないと自らに我慢を強いる。
服を洗濯機に入れ、ついでに自分もシャワーを浴びて今日の疲れと心の汚れを洗い流す。さっぱりして部屋に戻り乙の様子を見ると安らかな寝顔に変わっており、ちゃんと眠れていることに安堵する伏。ベッドには寝れないので床に客人用の布団をひきそこで眠ることにする。明日は乙の好きな料理でも振る舞おうかな、何を食べたい気分だろうか。そんなことを考えながら自分も眠りにつく伏だった。
※翌日談
「伏黒くん昨日はごめんね。お礼といってはなんだけど、今日やろっか」
「えっ?いいんですか?先輩疲れてるんでしょう」
「うん、でも寝て起きたら元気になったよ。それに伏黒くん、疲れた僕の体見て興奮してたでしょ」
「……してません」
「感じてたよ、視線。やらしいこと考えてたんでしょ?」
「気のせいです。でも今日はいいでしょ、そんな気持ちでも」
「いいよ、僕もそんな気持ち。夜が楽しみだね」
約束のキスを交わしてまずは休日を満喫する2人だった。