休みの日「魈」
「はい。いかがされ……」
魈は驚いてしまった。もうとっくに太陽はてっぺんを通り過ぎているというのに、呼ばれた先で鍾離はまだ寝台で横になっていたのだ。
「……どこか、具合が……?」
「いや、大事ない」
緊急事態に招集されたのかと思ったが、違ったようで魈はほっと胸を撫で下ろした。
むくりと起き上がった鍾離はまだ睡衣を着たまま、髪も結うこともなくまさしく寝起きのように見える。
「昨日から仕事が休みでな、一通りやりたいことが終わったので朝寝坊をしてみたんだ」
「さようでございますか……」
朝寝坊をした結果、自分が呼ばれたという事実がイコールで繋がらない。凡人として過ごしていることの報告なのだろうかと、魈は相槌を打った。
1779