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    @conishi524

    地雷がある方は閲覧しないでください。

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    パロ
    地雷がある方は読まないでください。


    急速に力を付けてきた組織のトップを殺してほしいというのが、今回持ってこられた依頼の内容だ。
    その組織と言うのはココら一帯を取り仕切っている893の本家“禪院”の若頭、いわば組長の跡取りが作った組織で、大陸系のマフィアを抱き込んで短期間でかなりの規模になっているらしい。デカイ組ホド後継ではモメるモンで、その若頭を失脚させたい他の有力者からの依頼だった。
    血統主義の御家らしく跡取り候補は皆組長の血縁……大量にいる息子達で、こーいう場合順当にいけば長男が最有力候補に挙がるモンだが、いかんせん箸にも棒にも掛からねエボンクラで、その下も同じヨウなのばかりとのコトで、組長がかなり齢を重ねてから出来た末の息子が若頭を務めている。まアソイツが優秀なモンで、若頭の業務をこなしながら好き勝手シノギで利益を上げ他の候補者の追随を許さず、今では内内で時期組長が確定しているとのウワサだ。
    そしてそのライバルである有力候補者……ツマリ、血の繋がった実の兄弟が、トウトウ目障りな末の弟を殺しちまおうって目論んでオレんトコにハナシが回ってきたってワケ。
    依頼を受けるにあたり仲介の孔時雨は最近のお家事情から詳細に聞かせたがったが、オレはターゲットの場所だけ聞き出して後の話をパスした。
    あの家のコトなら知っている。イヤと言うホド。

    「血縁殺しだ。失敗したら消されンぞ」
    「バァカ。成功したって同じだ」

    前金をダミーの口座から移し最低限のニモツをまとめた。
    893も公務員も週末はプライベートを満喫するモンだ。組の事務所内にある私室で寝ているトコロに忍び込んでドス!後は身を隠して、成功報酬はコイツに受け取らせりゃイイ。
    にしても、あの家が相変わらずアシを引っ張り合ってて、嬉しいカギリだぜ。














    後ろ暗いトコロのある金持ちの家によくある高い塀を、助走をつけて飛び越える。着地は監視カメラの真後ろ。無音で。そっからは気配をコロしてジッと待つ。見張りの舎弟が交代するトキ、下らねエ与太話に興じる。その瞬間にスルリと事務所内に入り込みマッスグに私室を目指した。
    巡回しているヤツらは隠れてやり過ごせても、サスガに私室の前の見張りは始末するしかねーかと思っていたんだが、私室に近付くにつれヒトケはなくなり、豪奢な両開きのドアの前には不用心なコトにヒトリの見張りも置いていないという、オレにツゴウのヨすぎる展開になっていた。
    携帯電話で予め調べていた若頭の番号をコールする。出ない。出なくとも構わない。室内から聞こえるバイブレーションのリズムに合わせてドアを開閉する。ド派手な赤いジュータンはオレの足音を消してくれて、部屋のど真ン中に設置されたベッドにアッサリと辿り着く。コチラに後頭部を向けて横になり眠るオトコは目の下くらいマデシーツを被っていた。そのシーツ毎片手でワシ掴み大振りのマクラにガンメンを沈め、ヨク研いだナイフでクビスジをシーツゴトマヨコに掻き切った。
    オトコは肩を何度かビクンビクンと弾ませ、やがて血だまりがシーツから溢れ静かにジュータンに染み込んでいく。
    終わった。
    ナイフの刃をシーツになすり付け鞘にしまう。パチンとボタンで留めて死体に目をやったら、オトコのトナリからスルンとひと房の長い金糸が滑り出ていて、オレは再びナイフを抜きシーツを捲り上げた。

    「……………………」

    目が合ってお互いに黙する。
    下品な金髪には似合わん上品なツラガマエの若いオンナが、血に濡れたベッドにその白くまろい肢体を転がしてオレを見上げていた。
    眉は整えられメジリはツンと持ち上がり、小さく高いハナ、厚いクチビル、ハダはシミヒトツなくマッシロで惜しげもなく晒されたカラダはオトコを誘う。
    若頭の情婦か。
    893のオンナだけあって、度胸がありやがる。トナリでテメーのオトコが殺されたってのに悲鳴ヒトツ上げねえ。サテどうしたモンかとナイフの柄をギュ、ギュ、と握り直していたら、作りモンのヨウなマガオが歪みオンナが笑みを浮かべる。
    しかしその表情はオトコに媚び諂う従順なオンナのソレではなかった。
    畜生を見るヨウな、見上げているのに見下ろす目線。バカにして、見下して、せせら笑う、上流階級の目。
    頬を掴んで持ち上げる。ナイフをクビモトに這わせてもオンナの表情は変わらねエ。むしろより深くニヤリニヤリと笑い、挑発してくる。オキレイなガンメンに切っ先を向ける。するとオンナは薄く長い真っ赤な舌を伸ばし、自ら刃先に触れた。
    プツン……
    舌先に血の玉が浮かび、スグに唾液となじんで流れていく。
    ナイフを避けてオンナのクチハシから親指を突っ込んだ。

    「イッ……、」
    「ハァ…………フフ♡」

    鋭い犬歯で噛み付かれて、今度はオレのユビのハラから血が流れる。オンナの舌が翻りその血を舐めとった。頬を挟み上げて突き出したそのクチビルに血を塗り込める。ホンの細やかなキズグチはスグに塞がり、下唇を一閃したトコロで血は乾いてしまった。オンナは愉快だと言わんばかりに一層笑みを深くし舌を出してクチビルを舐めた。
    その舌に噛み付きクチビルを合わせる。
    背中を持ち上げ抱き寄せて、華奢で情欲を誘うカラダに乗り上げて、存分に喰らいつく。
    豊満なオンナの肉体を全身で味わい、コシをグイグイ押し付けたら、オンナは満更でもないヨウでアシを開いてオレを招き入れた。
    ヤッちまうか……。
    この極上のオンナをココで抱く。
    禪院の優秀な跡取り息子を殺したオレが、そのオンナを寝取る。
    興奮しているのが自分でもハッキリわかる。アタマがグラグラ沸いてノーミソが熔けそうだ…………。

    バン!

    木製のブアツイトビラが衝撃で震える。
    外から忙しなく叩かれ、何事か叫んでる複数人のオトコのコエがした。
    オレがそんなモノに気をとられたコトに興覚めしたのか、いつのまにか極上のオンナはウデの中から抜け出し、ベッドにコシ掛けタバコに火を点け始めていた。甘い香り。濃ゆい煙に巻かれオンナのスガタが遠くなる。
    サッキマデ ウデの中にあったモンを取り上げられて、オレの野生がキバを剥きかけたがココで捕まるワケにゃいかねエ。
    その場で跳躍し天井のハリに取り付く。次の瞬間トビラが豪快に開いてオトコが三人、部屋になだれ込んできた。

    「ご無事ですか!?」
    「ドコ行きやがった!!探せ!!」

    オトコ達が部屋を検めヨウと踏み入った。オンナはソレにイヤそうなカオをし、ツイツイ、と天井をタバコで指す。
    ンのアマァ……!
    気付いたオトコがチャカをコチラに向ける前に飛び降り、着地の姿勢のまま三人まとめてアシを払った。振り返らず部屋を飛び出し、目についたマドをブチ破ってトンズラだ。
    夜目が利くオレにとっちゃ闇に紛れてバックレんのなんざワケねエ。シバラク走ってキョリをとり、テキトウな雑居ビルの上から事務所の辺りを眺める。こんな時間に車のヘッドライトが何台分も動き回っている。アソコだ。
    ジ、と車の進行方向を確認してたら視界のスミで何か白いモンがヒラヒラと動いていた。ピントを合わせると…………オレがブチ破ったマドから若頭のオンナがコチラに向かって手を振っていた。

    「ンワケねエから……」

    きっと、オレを探して右往左往している舎弟のヒトリにでも宛ててるンだろう。
    とにかく、あのヨウスじゃアオレを見つけるコトは出来まい。夜が明ける前にこの街を去ろう。
    正直身内同士で殺し合いなんざ日常的なモンではあるが、メンツを重んじる893にとっての最大のタブーともされている。実情から目を背けてヤッタヤラレタと非常にバカバカしくてケッコウなコトだが、体裁のために殺されるのナンザアゴメンだね。
    成功報酬を受け取ったら落ち合うコトになってる場所まで移動すべく、パイプ伝いにビルを降りた。万が一鉢合せても逃げられるヨウ、街を出るマデは裏道を使い、途中でゴミ箱の中に隠していた荷物を拾う。後は車通りの少ない下道をヒタスラ歩く。
    途中で車と食料も拾えたらラッキーなンだがな。















    何の肉なんだアこりゃア…………。

    クチの中でグニョ、グニョといつまでも弾力を失わずにいる謎の肉塊を、諦めて丸呑みにする。味は、中国料理によく使われてるクセの強いソース。アホみたいに辛くないダケマシ。
    マ、オレは飲み込めりゃアなんでもイイんだがよオ。
    『超級飯店』
    名前の通り、値段もメシのマズさも超級ってのは、ココとヨロシクやってるワンコロが言ってたンだったか……。
    金さえ出しゃアある程度は融通を聞かせる胡散臭エ店主は、テアシばっかヒョロヒョロに伸びたチンケなクソガキをタダ同然で働かせ、しくじっては頑丈なオタマで何度も殴りつけている。ガキの方も反抗的ではあるが、IDが無いらしくココぐらいしでしか働けないから文句を言いながら働いている。
    オレがカオも上げずに水、と言うと汚ねエキズだらけのコップに乱暴に水を注いだ。ビシャビシャ零しやがって、ドン臭エな……。
    金を待つ間、ココでクソマズイメシを食うのはオキマリになっていて、食ってる時点では無一文だが店主は黙認している。ボロボロのバッグから覗く大金を何度も目にしているからだろう。
    マズイ肉炒めの皿とドンブリイッパイのメシをカラにしても、まだ金は到着しない。追加で天津飯でも頼もうかと考え始めたコロ、ドカドカドカと大勢のアシオトがコチラへ向かっているコトに気が付いた。

    「伏黒甚爾だな?」
    「……………………」

    明らかにカタギでない風貌のヤロー共にアッと言う間にテーブルを取り囲まれ、入り口を塞がれる。
    視線でわかるぜエ……。オマエら、禪院のモンだろう。
    その見下したツラァ…………オレのコト、知ってンなア?

    「そー言うアンタらは、依頼人かい?ワザワザご苦労なこって……礼なんて構わねエのによ」
    「礼だと?ふざけたコトを」

    チャカ……
    フトコロから抜いた拳銃をオレのドタマに突きつけ、リーダーと思わしきオトコは憤慨している。オイオイ、感謝されるコトはあってもこんな仕打ちを受けるイワレはねエぜ……。

    「失敗したな」
    「…………ハァ?」
    「コチラの依頼に、失敗したな」

    決してオレをヒトとは思っていない視線と目が合う。あのイエのヤツらはいつもコウだ。オレが何をしても、しなくても変わらない。ある種公平というコトなのかも知れない。
    それよりも、今コイツは何て言った?失敗?失敗だと?

    「ソッチコソふざけてンのか。言われたコトはやった。アレでブジなら、お相手はバケモンだぜ。バケモンの相手は専門外だ。他を当たれよ」
    「バケモノか…………ある意味そうかもしれんな」
    「ぁあ?」

    オトコは一瞬遠い目をしたがスグにコチラに意識を戻す。コレだけギッチリ囲まれてちゃア、いよいよオレも終わりカモなーア。下からチャカを奪い、このオトコを人質にして店から出る。周囲を確認したらコイツを始末して身軽になったらひたすら走る。ヨシ。コレで行こう。
    卓上のコップをとり、水を飲む。ヌルイ。
    ピクリ。
    またオモテから足音が聞こえる。今度のはコイツらと違いタタタタとスマートな足音だ。だが人数はコイツらとそう変わらない。大柄なオトコの革靴に交じり、ユッタリとした軽いヒール音が聞こえる。一般人か?こんなトコロに?
    チュンチュンチュン、パチュチュチュチュン
    何の予告もなく細やかな発砲音が立て続き、オレにチャカ向けてたオトコが素早く振り返る。そのスキにオレはテーブルの下に潜り込み、入り口に目を向けた。
    バララッ!!バララッ!!バララッ!!
    今度はハデなサブマシンガンの発砲音がシバラク続き、オ、とかア、とか、言葉にならない叫びが次々と聞こえてきて、オレの視界にドサドサドサと死体が山積みになっていく。空薬莢がカンカンカンと油ぎった小汚ねエ床を打つ。コ、コ、とあのヒール音がして、ピカピカに磨かれた革靴達が道を開けた。鋭いツマサキのパテントがギラリと光り、華奢な足をエキゾチックレザーが包む。空薬莢の敷き詰められた床を進むそのユッタリとした足取りは、正しく先程オトコたちの足音に混ざっていたヒール音と一致した。

    「ジョーズやねエ、カクレンボ」

    ゴッ!

    その上品なシャネルが予備動作もなくオレが隠れていたテーブルを一蹴りで吹っ飛ばした。しゃがみ込んだまま見上げると、入り口からの自然光を背後にしてるオンナの姿は陰っていてハッキリとは見えない。しかしそのシルエットには見覚えがあった。ホッソリとしたボディラインを突き破る巨大なバスト。

    若頭の情婦…………。

    ソイツはヨユウゲにニンマリ笑い、机を蹴っ飛ばしたヒールをオレの肩に突く。オンナがウウンと背伸びをすると、ブラウスのボタンがミチミチミチと悲鳴を上げた。

    「アレ?な~んかわかってナイカオやねエ」
    「エ~ット……?」
    「ウチ、ウチ」
    「ハア…………?」

    オンナは軽いチョーシで自分を指さす。

    「ウチがアンタのターゲット♡」

    オンナのツマサキがオレの肩を蹴った瞬間、背後からアタマに布製の袋を被せられて拘束される。
    あ~……やっちまった……。まさかあの家でよ、オンナが台頭するとは思わねエじゃんかよ…………。
    こんなコトなら、依頼受ける前にちゃんと情報収集しとくンだった。ムキになってたンか、バカバカしい。結局、“禪院”に終わらせられるハメになるとはな。
    向けられた銃口の数を思い出し、カラダのチカラを抜く。ハイお疲れ~、解散解散……。

    「ホナ、行こか」

    グンと背中から持ち上げられ、アシをもう一人に担がれ運ばれる。重かったのか、人数が増えて結局四人がかりだ。そこマデではねエーだろ。
    袋越しに、『超級飯店』店主のラムがカン高いコエで店がメチャクチャ、死体を置いていくな、食い逃げと喧しく喚き立てている。さすが、イー度胸してンぜ。オンナはソレに応えるコトはなかったが、ラムのマシンガンクレームが途中で止んで「マタお待ちしてるヨー」と猫ナデ声になったから、十分な金を渡したんだと思う。
    車のキーの開閉音がしてトランクにでも詰め込まれるのかとボンヤリしていたが、パンと張った革のシートの上、柔らかいクッションをマクラに寝かされアタマの袋を剥がれた。
    ドンと視界イッパイに張り出したバストが広がり、その遥か上空から性の悪そうな、あの家特有のキツネガオが覗く。

    「ウチのペットを殺したンやからァ…………責任とってもらわな…………♡」

    ウフフと愉快そうに笑い、拘束されて動けないオレを好きホーダイ撫で回すオンナ。アーア、あントキ殺しておきゃアよかったぜ……。

    トコロが、連れて行かれた先でドレだけヒドイ扱いを受けるのかと思いきや、まずフロに連行され丁重に洗われ毛並みを整えられたアト、昨夜の痕跡ナド一切残っていないあの部屋で、ベッドの上で隅々まで可愛がられたオレだった。

    「ヨシヨォシ……ちゃアンと面倒みたるからな……………………また殺されるマデ♡」

    ……………………ハイお疲れ~、解散解散……。




















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