満点の星空で「おとうさん、外に出たい」
テレビでみた双子座流星群、今がピークらしくみえるらしい。
袖を引っ張っていつものように聞いてみる。
おとうさんは二つ返事で微笑み返してくれた。
見晴らしのいい公園。その高台に望遠鏡を設置して星を覗き見る。
キラキラと瞬く星がいくつも見えて思わずため息が漏れた。
…どのくらい眺めていたのだろう。代わりばんこで星々を眺め、時には休憩しておかあさんが作ってくれたお夜食を食べ温かいスープを飲む。
びゅう、と冷たい風が吹いて体が震えるとおとうさんが言った。
「今日はもうここまでにして家に帰ろうか」
その言葉にうなずいて変える支度をする。
ゴミも残さず公園の高台から帰るとおかあさんが出迎えてくれた。
「星はどうだったかしら?」
「とてもきれいだった、写真撮ったから現像したらおかあさんにも見せてあげるね」
「ありがとうフユアキ…… それにしても体が冷えてるわね、今ココアいれてあげるから座って待ってて」
「はーい」と返事を返して席に座る。
おとうさんも隣に座って今日見た星について話をした。
次はいつみれるのだろうか、今度山の方にもいってみたい、そんなことを話す。
話し込んでいるうちにおかあさんがココアを3つ持ってきてくれた。
それを飲んで体を温めれば、どこかホッとした感情になる。
そして瞼が重くなって自分の頭は舟を漕ぎ始める。
おとうさんが何かを言ってるけど、眠くて正常に判断ができない。
そして自分の体は宙に浮く…いや、抱きかかえられているのだろう。思わずおとうさんに擦り寄った。
明日も変わらずこの時が、平凡で穏やかな日が続きますように。
そう眠りに落ちる前に願って、夢の中へと向かった。