はるのあけぼのふ、と夢の終わりと同時にまぶたを開いた。寝る前にプラネタリウムをつけていたからだろうか。星たちの楽しそうな話し声を思い出しながらサイドテーブルに手を伸ばそうとして、ふと視界の端にこんもりとした布団の山が映り込み、反対側に目をやる。
――めずらしい。トキヤがまだ眠っている。
(そっか、今朝は寒いから)
最近は朝晩も冷えこまない日が続いていて、ようやく春だね、と話していたのはつい先日。思い出したかのようにやってきた寒さはトキヤを布団にとどめておくには充分だったらしい。時計を見ると、いつもなら日課のランニングに出かける時間だ。
(かわいい……)
音を立てないように、揺らさないように、そーっとトキヤの方へ体を寄せた。顔の輪郭がぼやけない距離まで顔を近づける。
1024