雨垂れ(手のひらの中の勲章) 梅雨に入ってからというもの、出島はずっと雨だ。空から降り注ぐ水滴はアスファルトを流れ、排水溝を目指す。俺はその水の流れを避けながら歩き、仕事場である行動課のオフィスへ向かった。オフィスにはもう花城も須郷も、ギノも揃っていて、皆熱心にコンピュータのディスプレイに向かっていた。俺は叱られるかと縮こまりながら時計を見るが、まだ九時までは五分以上ある。皆熱心すぎるほど熱心に仕事にあたっている。
俺は行動課のオフィスの窓を見る。そこには雨が叩きつけられていて、風景はひどく滲んでいた。そんな中で仕事をするのは不思議な感覚だった。エアコンが除湿になり辺りはカラッとしているのに、目の前に広がるのは海のような水たまりだった。
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