『誕生日』「「ハッピーバースデー!!」」
一斉にクラッカーを鳴らされ、パーン、と紙吹雪が舞う。今日は僕の誕生日なのだ。
「お誕生日おめでとう、お兄ちゃん!」
麻里が抱きついてくる。僕は照れつつも、麻里の頭をなでる。
「ありがとう、麻里」
「暁人さーん!おめでとう!」
「暁人くん、おめでとう!」
《お誕生日おめでとう》
「おめでとう」
みんなが口々にお祝いの言葉をかけてくれる。僕は本当に幸せ者だ。
「暁人、一ついいか?」
「何か?」
「その格好は何だ?」
KKが僕の服装に疑問を呈する。
「この衣装は絵梨佳ちゃんのお父さんが用意してくれたよ?しかもオーダーメイド」
「おい、何してんだお前」
「私からのプレゼントだが?」
僕が今着ているのは、黒いタキシードだ。赤い襟で、白いブラウスには黄色の蝶ネクタイを着けて、白いスカーフを肩に掛けているだけ。
1922