みそしるまバックストーリー(修正版) 俺の家は教会だった。
物心ついた頃から、真っ赤なステンドグラスの前で、教書を読み上げる父さんを見ていた。
「お前たちは、私の希望だよ」
知曲と一緒に、よくそう言われていたのを覚えている。
父さんの信じる宗教というのは、仏教やキリスト教といったものではなく、解凍院家が独自に信仰し、受け継いでいる、いわゆる新興宗教ってやつだった。
神がいて、教えってのがあって───俺と知曲は生まれたときからその価値観の中で育てられ、教えに反すれば鞭を打たれたり、儀式だとか言って煮え湯を飲まされたりした。家の敷地の外に出ることは決して許されなかったので、その仕打ちを疑うこともなかった。
俺たちが自分たちの人生に違和感を持ったのは、12歳の頃だったと思う。
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