普通斑目獅音が少年院で出会った極悪の世代は皆癖が強い。イザナを筆頭にそれぞれ傷害など悪辣な事件を起こした彼らは、普通とはかけ離れている。それ故大人からも子供からも爪弾きにされて、それに対して不信感を抱き、また"異常な奴"とレッテルを貼られてしまう。悪循環だ。
だからこそ、同じように世間からはみ出た奴らが集まった天竺は居心地が良かった。ここでは異常が普通で、普通が異常になる。
そんな天竺の中で、異常さを隠しきれずどことなく異彩を放つのが灰谷竜胆だった。
「あそこの組は獅音に任せる。他に誰か連れてくのも好きにしろ」
天竺が結成され、簡単に挨拶した後の事だ。不良界の頂点を取るため、まずは横浜を統一すべく名のある不良達を潰すこととなった。イザナの右腕になることが秘めた夢である獅音は、それなりに大きな組を任されたことに歓喜していた。
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