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    oruya_souko

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    oruya_souko

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    カプなし。ナビ♀ちゃん設定導入編的な…?

    #女体化
    feminization
    #白夜腐光
    whiteNightRottingLight

    ナビ♀ちゃんの話ソラヴァンから与えられてきた知識の中に、絶滅動物、絶滅危惧種というものがあった。種として認知されるほどの個体数がありながらも、途絶えてしまった生物たち。個体数が激減していると判明した段階で古代文明人はその生物を管理し、種の存続をはかったらしい。最大限その生物が自然に近いかたちで、けれど徹底した管理下で。
    学習の一環でそれをおしえられたとき、僕みたいだねと言ったらそうですねと普通に返されたのを覚えている。冗談だったのに。けれどバイスに出会って保護動物みたいと言われて、やっぱりそうなんだ、なんて呑気に考えていた。

    『あなたの性別は、おいそれと言わない方がいいかもしれません』

    そんな僕に釘を刺すかのように、ソラヴァンが言った。
    まだバイスたちが巨像に居を構えるようになる前のことだ。
    想定していたこととはいえ、どこにいるともしれない程数を減らした空の末裔。それを程度の差はあれど特別視する光霊たち。

    『光の軌跡がみえることは、彼らにとって敵と戦うのに大きなアドバンテージとなるでしょう。しかしあなたの力を無闇に利用しようとする者も少なくないと予想されます。』
    「それと性別とどう関係するの?」
    『絶滅危惧種の話を覚えていますか?私はあなたの力を利用されることはもとより、その血統をも利用される可能性を危惧しています。』

    つまり、繁殖実験です。ソラヴァンが淡々と喋る。現在の高齢たちがどうかは知らないが、空の末裔の繁殖方法は古代文明人とほぼ変わらない。科学技術に頼ることもなくはないが、基本的には胎生だ。学習の一環で知識としてしかないのでいまいちピンとこないが、確かに自分の身体を好き勝手されるのは嫌悪感がある。それに性行為じゃなくたって、死なない程度に解剖される可能性だってゼロではない。

    「そうだね。バイスたちは信用できそうだけど、光霊がみんなそうとは限らないし……当面は隠してみようかな。」
    『………… けれど、これが最善であるかと言われると懸念が生じます。いつかあなたに一生を共にしたいとおもう相手ができた時に、この方法が枷とならなければいいのですが。』
    「不確定要素を考慮し始めたらキリがないよ。現状優先すべきは実験動物扱いなわけだし。」
    『…………そうですね。けれどこれだけは覚えておいてほしい。AIの身で愚かな思考と嗤うかもしれませんが、私の親愛なるナビゲーター、私はあなたが幸せであることを第一に願っています。』


    あの時僕はなんと返しただろう。大袈裟だよソラヴァンは。そんなひといなくても、ソラヴァンがいればいいよ。もう朧げだ。

    あの時のソラヴァンの提案は当たらずとも遠からずで、バイスたちやこうして巨像に腰を落ち着けてくれているような面々は兎も角、カナン城や白夜城に訪れたときそっと聞こえたことばたち。『せっかくなら女であれば』『男でも体液を利用すればなんとかなるのでは』『そもそも我々と同じ生殖形態なのか』『空の末裔の生態について知れる絶好の機会だというのに、上層部が許可を出さない』『何も腑分けにしようというわけではないのに』『しかし内臓の構造はやはり腹を割いてみないと』それはもう随分好き勝手言ってくれるものだと感心すらした。
    結局あれから性別は隠し通したままだ。仲間たちに言うのを躊躇うというよりも、知ってしまった結果同じ陣営の人間たちとの板挟みにさせてしまいたくない。
    深夜の自室のシャワールームで、鏡に映る自分の姿をみつめる。水の節約もあったから短く切り揃えられた髪。仲間の女性光霊たちと比較すれば平均くらいの身体のラインは、あの日たまたま着ていた両性向け衣装のおかげで服の上からばれることはなかった。しかし成長はほとんどしきったとはいえ完全に止まったわけじゃなく、良くも悪くもまだ伸び代がある。いつまで隠し通せるかわからない。

    嘘を吐き続けてる罪の意識と、知られてどんな目に遭うかわからない恐怖。こんなことなら外に出なければ、と一瞬思ったけど、仲間達とのかけがえのない日々。後者を思えば救いはある。……なんて理屈を捏ねたところで、最大の理由は実は女なんだよねと告げるにはもう完全にタイミングを逃していることだ。今更言ったところでギャグか嘘だと思われるのがオチだ。

    「『いつかあなたに一生を共にしたいと思える相手ができたときに』……だったっけ。一生できなさそうだよ、ソラヴァン。」

    深いため息が、シャワールーム内に大きく響いた。
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