金時が綱推しマスターのカルデアで恋をする話(仮)
綱がカルデアに喚ばれた。平安京の一件から一月ほどが経っていた。
カルデアのマスターたる立香は、天覧聖杯戦争をめぐる特異点での戦いの中で綱の人柄に思うところがあったらしく、待ちわびた再会を喜んでいた。金時同様、その顛末を覚えていない綱も、初めて会うはずの少女の歓迎ぶりに面映ゆく応えていた。
起伏の少ない、穏やかな振る舞いで、綱はカルデアに静かに溶け込んだ。生前から見れば遥か未来の風物、異国の英雄に怪物、初めて見るものに出会うたび、ことさら言葉にはせずとも、興味深げに小さく眉を上げた。
頼光をはじめ源氏や日の本ゆかりのサーヴァントと話せば幾らか和やかに、鬼や化生たちには生真面目に隔てをおいて、茨木とはなるべく鉢合わせぬように。ときには食堂で腕を振るう料理自慢たちと談笑する姿を見ることもある。
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