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    雑多置き場

    エグい欲望の捌け口

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    雑多置き場

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    前に呟いた不思議の国のカズキのぱっと思い付いたとこだけ。アリス本編を知らないのでま~~じの幻覚の幻覚です。ほぼ会話。世界観謎~不思議の国ですね(丸投げ)

    「この世界では、ルールを破った者は世界に殺される。文字通り、人ではなくなるんだ」
    「人じゃなくなる?」
    「ここにくるまでに会わなかったか? 異形の化け物に」
    「いた。あれは元は人なのか」
    「そうだ。世界の定めたルールを破り、己の欲だけの塊に堕ちた、人だったモノだ」
    「じゃあなんでそれを教えないんだ? みんなで気を付ければいいんじゃないか?」
    「ダメだ!!」
     女王が机を叩く。
    「考えてみろ、ルールを破れば人ではなくなる。それを教えたとして、最初はみんなルールを守って暮らしていけるだろう。しかし、人間は弱い。誰かがふとした拍子に、隣人がルールを破った瞬間を想像してしまった時。恐怖に駆られ、隣人を害してしまった時。爆発的な感染力で不安は増長するだろう。血を血で洗う争いがはじまる!! そうなればこの世界は地獄だ!! ルールなんて、あってないようなモノになり、人が、人でありながら獣になる…!!」
    「…だから、お前は『ルールを破れば死刑』なんてルールで縛るのか」
    「……そうだ」
    「ひとりで悪者になって、あいつがいるからなんて言われようとするのか」
    「無差別な疑いより、たった一人に集まる怒りのほうが御しやすい」
    「みんな、お前のせいにする」
    「一度でもルールを破れば、次も、また次も、と欲が出る。気が付いたら己は化け物になり果て、欲だけの獣になる。律するモノが必要なんだ」
    「ルールを破れば死刑なのは、化け物になってしまう前にこっそり対処するためなのに、それも知らずに、お前に理不尽に怒る。お前を理不尽に詰る。お前を追い落とそうと、理不尽に拳を振り上げる」
    「理解している」
    「なんで、望んで独りになろうとするんだよ」
    「独りではない。世界を知ってしまった人々の中には、それでも世界を守ろうと働いてくれる者もいる。そんな人々を集めて、この城を築いた」
    「でもそいつらは顔を見せない。お前ばかりが悪者になって、誰からも嫌われる」
    「覚悟の上だ。誰かを巻き込むつもりはない」
    「それが独りだってことだよ」
    「では何か? みんなで手を繋いで仲良くしましょうとでも言うのか? 日々をただ懸命に生きる人々を悪に仕立て上げて、自分はのうのうと菓子でも食っていろと?」
    「違う」
    「お前は何が言いたいんだ。さっぱりわからない、きちんと説明しろ」
    「俺がやるよ。俺も、お前の居るところに行きたい」
    「…なんだと?」
    「お前が望むことを、なんでも叶える。だから、俺の望みも叶えてくれよ」
    「なんでも、なんて、軽々しく口にしないことだな」
    「軽々しくない。俺は本気だ」
    「なおさら断る。お前は早いところ元の世界への帰り方を見つけるべきだ」
    「でもお前のことをほっとけないよ」
    「余計なお世話だ」
     下がらせろ。女王の号令で兵士が動く。
     強引に引っ張られ、カズキはそれでも女王へと視線を投げ続けた。

     扉が閉まる瞬間に見た背中はあまりにも細く、カズキの目にはそれが、ただ悲しく映っていた。
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