神子社家のおなじ話「どこにいるの?」
『窓のそばにいるよ』
「歩にぃ、何してるの?」
「何もしてないよ」
『こっち来てよ』
「今行く、だからちょっとだけ待ってて」
『お話したいよー』
「いいよ、なんの話しする?
絢から話していいよ」
〈ねぇどこにいるの?榛くん〉
《藍のそばにいるよ?》
〈何を見てるの?〉
《君たちのこと見てるよ》
〈どこに行くの?〉
《どこへも行かないよ》
《ずっと君の傍にいるよ》
それから 私も榛くんを見つめて
それから いつもおなじ話
《どこにいるんだ!?聞こえたら返事をしてくれ!》
「歩にぃと隣の…部屋に……いる…」
《母さん何してるんだ!外で待っててくれ!》
〈でも……でも…!〉
「ママへの手紙は…?おにぃ…」
『大丈夫。書いたやつ持ってるから。』
〈傍に…そばにきてよ……〉
《でも、俺は行かなきゃだな》
〈なら、私もここで〉
話をしよう
それから おにぃは私を見つめ
それから 泣きながら笑った
それから 絢は俺を見つめ
それから 泣きながら笑った
さようなら ゆうべ夢を見たよ
さようなら いつもおなじ話