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    kaizu_game

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    kaizu_game

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    ゴーストタイプへの執着で書いた文章 一部抜粋してるので説明不足で始まる 捏造がすごいです

    フワンテの蓄えた魂と融合した7歳児の症例ポケモンをタイプ別に見た時、一番扱い辛いのはドラゴンタイプだと言われている。
    彼らは賢く、強く、気高い。弱いトレーナーの指示は聞かず、捕まえるのも育成も難しい。未進化ならまだしも最終進化まで進化させるには相当優秀なトレーナーでないと難しく、そこまでいける個体はほんの一握りだ。
    逆に初心者やバトルをしない人間が持つのに適していると言われているのはノーマルやフェアリーや草タイプで、種族にもよるが比較的穏やかな個体が多い。
    そして、一説によればドラゴンタイプの次に扱い辛いのはゴースト、悪と続くと言われている。


    それが起きたのは、その子供が7歳になった頃だった。
    学校帰りの公園だった。まだ日も落ちていない、夕方のオレンジが地面を照らす時間帯だった。
    子供はよく言いつけを守って、毎日暗くなる前に家に帰っていた。今日はスクールがある日ではないのでまっすぐ家に帰る、その途中だった。
    風船が木に引っかかっていた。それがなんとなく気にかかって、そちらに足を向けた。糸が風に頼りなさげに揺れている。ガタガタと腰につけたボールが暴れる。オタチに風船を取るだけだよ、と話しかけて、子供は手を伸ばした。
    そしてその指の先で、風船と目が合った。
    あ、と思った。それは薄い紫色をしていた。
    子供はまだすべてのゴーストタイプを覚えていたわけではなかったが、大体実体のない紫か黒には注意しろと言われていたので、一瞬ぐっと息をつめた。
    まんまるな目が子供を見ていた。口には黄色いバツ印が貼られている。かわいい。こんなかわいいポケモンが、果たして本当にゴーストタイプだろうか?
    フワンテにとっては、その一瞬でよかったのだ。相手の油断する一瞬。揺れる糸のような触手は子供の手にぐるぐると巻き付いた。
    「ぷわわー」
    ぼん、勝手にボールからヨーギラスが飛び出してくる。ぎり、触手が柔らかい皮膚に食い込んだ。「あ、」ぐい、上に引っ張られて、足が浮いた。
    スクールで何回か実戦はやったはずだった。ヨーギラスが必死に主人を守ろうとぴょんぴょんジャンプしているも、どうしたらいいか分からないでいる。指示を、指示を出さなきゃ。頭では分かっているけど、口が動かない。このためにバトルの練習をしたのに。なんて、なんて言えばいいんだっけ。触手が巻き付いた手から血が滲む。足が地面から浮いていく。フワンテは上へ上へと子供を運んでいこうとしていた。感情の浮かばない目が、こちらを見ている。
    怖い。
    あれからゴーストタイプに近付いたことはなかった。子供は初めて自分は死ぬのだと自覚した。ヨーギラスがぎゃうぎゃうと鳴いている。血の気がどんどんと引いていくのは、半分は目の前のポケモンのせいだ。
    子供の精気をじわじわ吸ったフワンテは、ぽわ、と光ると姿を変えた。身体が段違いに大きくなる。絡みついていた触手は幅広のものへと変わった。
    「ヨ、ギラス」
    絞められたように動かない喉をこじ開ける。助けて。どんどん視界が暗くなって、息が切れる…。
    「ッカゲボウズ、ナイトヘッド!」
    掴まれた触手が感電したかのように激しく震えて、子供の身体は放り出された。どしゃ、と砂の上に身体を打ち付ける。げほげほ、思い切り咳き込んだ。
    「ぷわわわー」
    ヨーギラスが駆け寄ってくる。見知らぬカゲボウズが子供の前に立ちふさがった。
    「そのままだましうちだ!」
    カゲボウズはひらりと身体を翻すと一瞬でフワライドの後ろに回り一撃を食らわせた。その間に子供は知らない少年に抱きかかえられる。
    「大丈夫か!?」
    「げほ、」
    ぐらぐらと揺れている。気持ち悪い。カゲボウズがでかい風船と戦っている。
    「お前のヨーギラス、なに使えるんだ!?」
    「あ、え…、と」
    まるで目も利かない。思考も散漫で汗が止まらない。吐き気がしてぐっとえずいた。
    ぶわっとフワライドがきらきらした風を吹かせた。あやしい風だ。その少年は子供を庇うように胸に抱き寄せる。
    「ぎゅ」
    カゲボウズが苦しそうに呻いた。子供の身体もびくっと痙攣する。息が一層荒くなる。「おい、」
    「ヨーギラス、すなあらし!」
    少年は使えるだろうと思って指示を出した。ヨーギラスは子供にまとわりついていたが、はっと彼を見るとフワライドに立ちはだかった。ぎゅお、と砂を巻き起こす。
    「がう!」
    びしびしと小さな砂粒がそこらじゅうに巻き散れる。渦中にいる少年にも容赦なく砂が当たるが、言っている場合ではなかったのだ。より一層子供を胸に抱える。あやしい風はやんだ。
    「よし、カゲボウズ、もう一度だましうち!」
    砂を小さな身体に受けながらカゲボウズは一気にフワライドと距離を詰めた。どすっとカゲボウズの身体がフワライドに当たり、フワライドはそのまま地に落ちた。
    「ぷわ…」
    よろよろとフワライドはどこかに飛んでいく。深追いはしなかった。
    「おい、おい、大丈夫か」
    少年は子供を揺さぶる。子供はゆっくり目を開いた。
    「名前は?家はどこか言えるか?」
    少年は子供の意識を繋ぎとめるように手を握った。が、それがすかりと空を切って、え、と目を剥く。
    恐る恐る触れた手は、やはりすり抜けた。さすがに息を呑む。なんだこれ。カゲボウズが近付いて、顔のあたりにまとわりつく。
    子供は目を開けた。さっきすり抜けた手は元通りになる。
    少し体調が良くなったように見える。カゲボウズはじっと子供を見つめていた。
    「カゲボウズ」
    「じゅ…」
    カゲボウズは大きな目で彼を見た。子供の手がゆるゆると持ち上がると、カゲボウズはその手に頭を擦りつけた。
    少年がカゲボウズのそんな姿を見るのは初めてだった。そもそもこの公園に飛び込んだのも、カゲボウズが勝手にどこかに行ってしまった跡を追ったためだ。
    少年は腰につけていた空のボールを外した。それを子供に握らせる。
    「俺のカゲボウズのボール」
    「…え?」
    「ゴーストの弱点はゴーストだから、持ってた方がいい」
    「でも」
    「代わりに、ヨーギラス、俺と来るか」
    ヨーギラスはびっくりしたように少年を見た。それから子供を見て、心配そうな顔をする。それでも、ヨーギラスは子供より少しばかし年上の少年に指示を出された高揚を覚えていた。自分じゃなにもできなかった。主人を守ったのはカゲボウズだ。
    スクールの子供たちは同年代で、ここまでバトルができる子供はいなかった。ヨーギラスは悔しかった。もっと強くなりたい。
    ヨーギラスは少年の手を取った。


    それから3日、子供は高熱を出して入院した。
    「ゴーストタイプは、実体がありません」
    病室にぞろぞろと医者が来て、母親は不安な顔で膝の上に置いた手を組み替えた。その中にはコガネの研究所で顔なじみになった職員もいた。
    少年はすぐに子供を抱えて近くのポケモンセンターに駆け込んだ。ポケモンセンターはポケモンの治療とホテルを兼ね備えてはいるが人間の病院というわけではない。そのまま救急車で大学病院に搬送された子供は、ただの高熱だとは判断されなかったのだ。
    「実体が無いと言うのは、つまり内臓器が無いということです。分類学においてゴーストタイプに分類されるポケモンは一律してこの特徴を持っています。壁をすり抜けたり、ノーマルや格闘の技が当たらないのはそのためです。
    ゴーストタイプはその生命を維持するにあたり…、ええ、それでもゴーストタイプはポケモンという生き物に定義されるように、生きているという判断をされています。ゴーストタイプと幽霊は別物です。
    それで、ゴーストタイプは、人間や他の生物が栄養や酸素をもって生命活動を維持するように、例えば人間の恨みだとか、悪夢だとか、そういったエネルギーを核に留めることで生命を維持しているんです。
    細胞の老化などは起きないので寿命がないのはそのためです」
    「…あの、えっと、先生、それが、うちの子となんの関連が…」
    白髪交じりの髭を生やした年嵩の医者はんん、と咳払いした。「落ち着いて聞いてください、お母さん」
    「お子さんは今、普通だったら死んでいる状態なんです」
    「え?」
    「心臓の拍動が非常に遅い。本来なら全身の臓器が機能していない状態です」
    子供はぼうっとその話を聞いていた。相変わらずカゲボウズが顔の近くにふよふよと浮いていて、熱が引かない頭は上手く動いてはくれない。
    母親は真っ青になってガタガタと震え始めた。
    「じゃあ、それじゃあ、うちの子は」
    「でも息子さんは正常に生きています」
    「…え…?」
    「話を戻します。ゴーストタイプの中には、ゴースやそこにいるカゲボウズのようにいかにも実体のないものと、まるで他の生物のように、身体があるように見えるものがいます。例えばゴーストタイプのオドリドリや、ジュナイパー、アローラ地方で見られるガラガラなど。これらの種は進化してから初めてゴーストタイプを獲得します。オドリドリもフォルムチェンジという形ですが同様ですね。つまり、これらのポケモンは、生物として生きている状態からゴーストタイプになる。心臓を動かし呼吸をする、そういった生命の営みはなくなり、体内に核を持ち生きるようになるのです。
    それとほとんど同じ状態が、息子さんの身体の中で起こっています」
    おかあさん、子供は掠れた声で母親を呼んだ。母親は弾かれたように子供を見る。「喉乾いた」小さな声でそういうと、すぐに近くにいた看護師が水差しを差し出す。母親は思わず子供を抱き寄せた。
    「それは、一体どういう…」
    「医学的に見れば死んでいるはずの状態で、全く正常に生きているんです。身体の中に新たなエネルギー体系を獲得している。お子さんは呼吸もしているし水を飲むことも食べ物を食べることもできる。今までと変わりません。ですが、それがなくても生きていられる」
    母親は具合を悪そうにしている以外には全くいつもと変わらない息子を見た。触った肩は熱があって熱い以外に、普段となんの変わりもない。
    「お子さんを助けた男の子の話によると、お子さんはフワンテに攫われかけたそうですね。フワンテが子供を攫うというのはそこまで珍しい話ではないですが、そこでフワライドに進化したのだと」
    「ええ…そう聞きました」
    「フワンテやフワライドが子供を攫うのは自分の中に詰まった魂の補充のためだと言われています。私もこんなケースは初めてですが…恐らく『混ざった』のではないかと」
    子供はゴーストタイプに好かれていた。それが種族、個体によってどう意味を成すのかは違ってくる。フワンテは…フワライドは、まぎれもなく子供を自分の中に取り込もうとしていた。
    最初は子供から張り付いて離れない、知らないカゲボウズが害を成しているのだと思った。しかし子供を助けた少年の手持ちだったということと、無理矢理引き離した時にがくんと子供の体調が悪化したことから、今現在急激に変わった子供の身体のバランスを保っているのはカゲボウズのおかげだと分かったのだ。
    カゲボウズは子供を生かそうとしている。それ以降、名前も名乗らず去っていた少年に子供が会うことはなかった。
    そしてそれから20年ほど、子供は人間と同じ顔をして、人間として生きている。






    このあと成長した子供がなんかそういう組織に狙われたり
    成長した少年と進化したフワライド(ゴースト・飛行)絶対殺すマンのバンギラス(悪・岩)と再会し共闘したり
    そのバンギの弱点のかくとうをバケッチャのハロウィンですかしたり
    マサキがポケモンと融合した転送システムのバグを人為的に再現したりとかした
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