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    あわわ

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    本丸で迷子になった審神者の話

    本丸広すぎて1度は迷子になるでしょう就任当初の夜、しょんぼりした顔で部屋を訪ねてきた虎くん。迷子になったの?と五虎退たちのいる粟田口部屋へ送り届けようとするもそういえばこんな夜更けに出歩くなんて初めて…と薄暗い廊下を歩いてるうちにだんだん怖くなってしまい虎をぎゅっと抱きしめて早足で向かうんだけど薄暗いせいかどこも初めて通る道に見えるし全然辿り着けないし、戻ろうにも帰り道分からないしで迷子になった審神者。
    いつも加州が前を歩いてたから迷子にならなかったんだ、と気付いても後の祭りで泣きべそかきながらとぼとぼ歩いてたら縁側で晩酌してる鶴丸がいた。

    「つ゛っ」

    1人じゃなくなった、そう安心した拍子に力抜けてしまいその場で崩れ落ちた私に鶴丸は目を丸くしたあと、慌てて駆け寄ってきてくれた

    「きみ、どうした」

    そのあと虎も私も迷子になった、帰り道が分からない、怖い、一緒に着いてきてほしい。そうしゃくり上げながら話す私に鶴丸は状況を理解したあとどこかホッとしたような顔に変わり、くつくつと笑い出した。

    「なんだい。それできみ、泣いていたのか」

    かわいいなあ、そう紡がれた言葉に驚いて目をぱちぱちさせながら顔を上げると、ふと自分より一回りも大きく骨ばった手が差し伸べられた。
     
    「?」
    「そら、虎を送り届けるんだろう」

    道中、虎は私の腕からすり抜け、私たちの横に並んだり少し駆けて前へ進んだかと思えば止まって、また横に並んで歩いたりする中、鶴丸はずっと怯えて腕にしがみついている私に小声でいろんな話をしてくれた。今日の手合わせは加州と白熱した、今剣がきみの作るくっきーとやらをまた食べたいらしい、明日は晴天になりそうだ、そう話してくれる鶴丸の声はとても優しかった。

    鶴丸が顕現してからそう日は経っていない。2人きりで話すこともまだ片手で数えるくらいしかなくて、どこか近寄り難く感じていたけれどこの日を境に審神者はちょっと安心できた。
    後日、演練や町へ行くたびに「逸れるなよ」「迷子になるなよ」と声かけてくれるようになった鶴丸。優しい。でもちょっと揶揄い混じりなとき多々あるよね。fin
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