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    流菜🍇🐥

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    勢いで書いた日付ネタのTF主ルチです。ルチがコスプレして自撮りしてます。ちょっと特殊性癖です。

    ##TF主ルチ

    メイドの日「今日は、メイドの日なんだって」
     その日の夜、彼は唐突にそう言った。絶対に言及すると思っていた、俗世間のくだらない記念日だ。この話題に触れたのなら、言われることはひとつしかない。僕は容赦なく相手を睨んだ。
    「絶対に嫌だからな!」
    「まだ、何も言ってないんだけど……」
     苦言を呈してはいるが、頭の中は簡単に読める。聞く価値も無いようなことだ。先回りして、拒否の意思を示す。
    「メイド服を着てほしいとか言い出すつもりだろ。絶対に嫌だからな」
     この男は、コスプレと女扱いが好きなのだ。僕が嫌がると知りながら、コスプレ衣装を持ち込んだり嫁扱いをしてくる。本当に遺憾だった。
    「違うよ。明日メイドカフェに行こうって言いたかったんだよ」
     僕の拒絶を受けたからか、彼は取って付けたような言い訳をした。彼がメイドカフェに興味を持つなんてあり得ない。だって、この男は女が苦手なはずなのだ。
    「それ、嘘だろ。そんなんで僕を騙せると思うなよ」
    「本当だって。信じてよ」
     突き放すと、彼は慌てたように言葉を続けた。慌てっぷりが余計に怪しい。到底信じられない言葉だった。
    「とにかく、メイド服もメイドカフェもなしだからな!」
     無理矢理話を切り上げると、彼は寂しそうに顔を伏せた。そんな顔をされても、絶対に応えてなんかやらない。

     それ以降、彼がその話を持ちかけることはなかった。これまでの経験から、それが得策ではないと知っているのだろう。そうでないと、僕のパートナーなど勤まらない。
     彼が風呂に向かうと、僕は部屋のクローゼットを開けた。彼はいつも、僕に押し付けるものをクローゼットに隠している。メイド服があるなら、絶対にこの中だと思ったのだ。
     荷物の中を一瞥して、目的のものを探す。埃っぽいがらくたの山の中に、真新しい袋を見つけた。側面にはディスカウントストアのロゴが印刷されている。間違いないと思った。
     袋を引きずり出すと、中身を検分する。ビニール製の入れ物の中に、コスプレ衣装メーカー特有の台紙が入っていた。でかでかと印刷された女の写真は、メイド服に身を包んでいる。
     見つけた。こんなところに隠すなんて、無防備なやつだ。見つけてほしいのかもしれない。
     僕は袋を開けると、中の布をひっぱりだした。中身は三点セットで、真っ黒なワンピースと真っ白なエプロン、フリルたっぷりのヘッドドレスが入っている。安っぽい布地に荒い縫製の、いかにもコスプレ衣装な造りだった。
     袋の中には、別のアイテムも入っていた。ひっくり返すと、ばさりと音を立てて落ちてくる。レースの縫い付けられたハイソックスだった。
     あの青年は、かなり気合いを入れていたみたいだった。メイド服だけでは飽きたらず、靴下まで用意していたのだ。しかも、絶対領域のあるハイソックスだ。僕をどういう目線で見ているのかが一目瞭然である。
     そこまで用意されていると、少しだけ考えてしまう。僕がこの服を着たら、彼はどのような反応をするのだろうか。驚くのか、興奮するのか。目を逸らすのか、見つめてくるのか。その疑問は少しずつ膨らみ、やがては好奇心に塗り替えられた。
     どうせなら、彼をからかってやろう。彼の用意した服に身を包んだ姿を、彼に見せつけるのだ。興奮したら、特殊な趣味だと罵ってやれば良い。
     僕は寝間着を脱ぐと、ワンピースを身体に纏った。両腕を袖に通し、後ろのチャックを閉める。いつの間に調べたのか、サイズはぴったりだった。上からエプロンをつけると、ヘッドドレスで頭部を飾った。ハイソックスを手に取り、足を覆う。
     着替えた後に、部屋に鏡がないことに気がついた。彼は身だしなみに頓着しないから、自室に鏡を置いていないのだ。自分の姿を確認したいなら、玄関か洗面所に向かうしかない。
     しかし、それはあまりにもリスクが高すぎる。玄関に向かうには、洗面所の前を通らないといけないのだ。最悪の場合、着替えたことに気づかれる可能性があった。
     何か手はないのか。少し考えて、あることに思い至った。立ち上がって、室内を見物する。
     目的のものはすぐに見つかった。彼の持ち歩いている端末が、机の上に出しっぱなしになったのだ。勝手に拝借して、カメラ機能を起動する。インカメラに切り替えると、自分の姿を映した。
     そこには、メイド服に身を包んだ子供が映っていた。赤い髪をだらりと垂らし、小さな身体は黒のワンピースに包まれている。白いエプロンが、動く度にひらひらと揺れた。
     僕は息を呑んだ。その姿は、妙に倒錯的だったのだ。凹凸の少ない子供の身体に、膝丈のメイド服とハイソックス。顔に付けられた武骨な仮面が、異次元の存在のように異質だった。
     彼は、なんてものを着せようとしたのだろう。メイド服なんて、どう考えても変態的だ。こんな服を着てしまうなんて、僕はなんて変態なのだろう。
     とは言え、ただ着ただけでは好奇心が落ち着かなかった。自分の姿を見ると、彼の反応が気になってしまうのだ。この格好の僕を見たら、彼はどんな顔をするのだろうか。
     僕は、端末を持った腕を伸ばした。女座りをして、上目遣いで科を作る。上から見下ろすような構図で全身を収めると、カメラのシャッターを押した。
     パシャリと音がして、画像が保存される。端末を確認すると、誘うような顔でこちらを見つめるメイド服の子供の姿があった。
     やってしまった。こんな写真を撮るなんて、とんでもない恥さらしだ。僕は、変態になってしまったのかもしれない。心臓がドクドクと高鳴り、顔が熱くなった。
     こんなものを見せるわけにはいかない。そう思って削除ボタンを押そうとするが、手が動かなかった。好奇心が、ボタンを押そうとする手を止めてしまうのだ。もしかしたら、僕はこの姿を彼に見られたいのかもしれない。そうだとしたら、僕はとんでもない変態だ。
     結局、写真は消せなかった。端末を元の位置に戻して、メイド服を脱ぐ。元通りに畳み直すと、袋の中に入れた。
     ベッドに潜り込んで、何度も深呼吸をする。身体が燃えるように熱く、心臓の鼓動が止まらなかった。僕には、心臓なんて無いはずなのに、動力の動きを心音のように錯覚してしまう。エラーが起きているみたいだった。
     しばらくすると、彼が部屋に入ってきた。ベッドに潜り込む僕を見て、穏やかな笑顔で笑う。ベッドの隅に腰をかけると、僕の頭を撫でた。
     僕は、彼の手を掴んだ。胸元に引き寄せると、上目遣いで見つめる。
    「どうしたの?」
     彼が、不思議そうに首を傾げた。優しい視線が、真っ直ぐに僕に注がれる。羞恥に顔を火照らせながら、不本意な言葉を投げ掛けた。
    「身体が、熱いんだ」
     もう、どうにもできなかった。この熱と高揚を逃がすには、彼に触れられるしかない。彼の体温と愛情で、僕の恥を塗りつぶしたかった。
    「楽にしてくれるかい?」
     見上げると、彼は神妙な顔付きになった。ごくりと唾を飲むと、重々しく頷く。僕の異変が、彼にも伝わったみたいだった。
    「分かったよ」
     彼が、僕の身体を覆う布団を引き剥がした。熱に侵された身体が、ひやりとした空気に触れる。
     一瞬だけ、自分がコスプレ衣装に包まれているような錯覚に陥って、思わず息を飲んだ。そんなことはあり得ない。僕は、あんな恥ずかしい格好など望まないのだから。
     机の上には、彼の端末が置かれている。あの中に、僕の恥が記録されているのだ。それを意識すると、僕の身体は高ぶり、熱を持ってしまう。
     僕は、本心ではあれを望んでいるのかもしれない。そんなことを考えて、羞恥に襲われる。全部、この男のせいだ。彼のせいで、僕はどんどん変態になっていく。
     彼の手が、僕の肌に触れた。羞恥の記憶を塗り替えるために、僕はその温もりに意識を委ねた。
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