幸せの追憶「お前、っはは、びしょ濡れじゃねーかよ!」
夕日をバックにしているから、兄ちゃんの笑顔が眩しく見える。
こんなに幸せそうに笑う兄ちゃんはいつぶりだろうか。
「もー、それは兄ちゃんもでしょ!」
「うはは!おら、くらえっ!」
「うわっ!ちょっと水かけないで!」
「あはははっ!」
「……本当に、いいの?」
「…いいから、来たんだろ?」
「そうだね、うん!よし、最後の海楽しもう!」
「そうだよな!」
学校指定のシャツも、髪も、全部びしょ濡れになりながら、俺は過去のことを思い出していた。
「…兄ちゃんのこと、好きだ」
「……え?」
「付き合って、ほしい…」
「………おい、俺ら性別以前に男だぞ?いいのか」
「そんなの関係無いもん…」
「……俺も、好きだ。お前のこと、ずっと愛してた」
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