獣人タル鍾「公子殿、その狐しっぽをもふもふさせてくれ!」
「ん?先生ほんとコレ好きだよねぇ?いいけど、じゃあ先生の竜のしっぽも触らせてよ」
「いいぞ」
鍾離は、自らの尻尾をタルタリヤの顔の前に差し出す。
つるりとした鱗に覆われ、先端にはふわりとした毛が巻かれている鍾離の尻尾を撫でる。
「うーん……すごいツルツル…手入れとかきちんとしてるなぁ…」
「公子殿にそう言ってもらえると嬉しいな」
タルタリヤは手触りの良いそれに思わず頬擦りする。
そんな彼の様子に鍾離は微笑みながら、自分もタルタリヤの耳に顔を寄せる。
「公子殿、俺にもしっぽを触らせてほしいのだが?」
「うん?別にいいけど……」
タルタリヤがそっと自身のふわふわ狐しっぽを差し出せば、鍾離はその先端にキスを落とす。
「ひゃぁ!?ちょ、ちょっと何してるんだよ!」
「ああすまない、つい」
タルタリヤの反応にくすりと笑う鍾離に彼はむくれる。
「もう!突然やめてよね!」
「そうだな、続きは夜ということにしておこう」
「いやしないからね!?てか絶対変なこと考えてるでしょ!!」
「さすが公子殿、勘が良いな」
鍾離の言葉に呆れつつ、タルタリヤは彼のしっぽを解放する。
すると今度は鍾離の手が彼へと伸びてくる。
「俺は、この耳も好きだな」
すり、としっぽと同じように頬を寄せられる。
そのままさわさわと手で触れられるとなんだかくすぐったく感じた。
「せんせってば、結構好き者だよねぇ……」
タルタリヤは呆れたように息をつくと、彼の胸に顔を埋めた。
「俺のもふもふ触るの、そんなに楽しい?」
「とても癒されるぞ。特にこうして触れているだけで幸せを感じるくらいには」
鍾離はタルタリヤの頭を優しく撫でる。
タルタリヤの方はといえば、目を閉じてされるがままになっていた。
「……ねえ、せんせい」
しばらくするとぽつりと呟かれた言葉に、鍾離はすぐに反応する。
「どうしたんだ?」
「あのさ、先生ってばいつも抱かれる方だけど、それでいいの?先生のこういう一面を見る度に、抱かれてる方だと思えないっていうか……。」
「む、不満なのか?」
「違うよただ、先生はそれでいいのかなって。」
「なんだそんなことを気にしているのか?…それでいいではなく、それがいいんだ、公子殿。」
そうして鍾離はタルタリヤのしっぽをもふもふと堪能している。そんな彼をタルタリヤはちらりと見やる。
(まあ本人が幸せならいいか)
結局彼が気持ち良ければそれでいいのだ。
そう納得してタルタリヤは目の前の男に身を委ねることにした。
「ふーん、じゃあこれからもずっと先生のこと抱き続けることにするよ。」
「ああ、よろしく頼む」
鍾離は嬉しそうに笑いながら返事をする。
「……というか、いつまでしっぽを触っているつもりなの?」
「飽きるまで、だろうか。」
「えぇ〜…………」
タルタリヤが困り果てたような声を出すが、鍾離は全く気に留めていないようだ。
「はぁ……、全くもう……」
タルタリヤは小さくため息をつくと、目の前にある鍾離のしっぽをするする撫でる。
「竜のしっぽっていっても、こうしてみるとちょっと蛇っぽい、かも?」
そういうと、鍾離のしっぽが咎めるようにしゅるりと巻き付く。
「公子殿、俺は爬虫類と言われればそうかもしれないが、これでも立派な竜種なのだぞ」
「はいはい、わかったよ」
「まったく……」
そうしてモフモフもふもふとタルタリヤのしっぽを愛でる鍾離であった。
「そういえば、俺たちの関係ってなんだろうね。」
タルタリヤがそう言うと、鍾離が首を傾げる。
「恋人では無いのか?」
「うーん、ほら俺達って愛を囁き会うって関係じゃないよね。やってる事も、以前とあんまり変わらないし。一緒に食事したり、こうしてゆっくりしたり。確かに夜のアレコレは恋人になってから始めたけどさ〜」
「では、俺達は友人というものではないか?お互いの友人らしいことはあまりしたことが無いと思うのだが」
「ああそうだっけ?でも友達同士でセックスしないじゃないか。」
「む、それもそうか。ならば何になるのだろうか?俺は公子殿のことを好ましく思っているのだが……」
「奇遇だねぇ、俺もだよ。」
タルタリヤはくるりと鍾離の方を向き、鍾離の竜の角をするりとなで上げる。
「しっぽのお返しだよ、せんせ」
「では今度は公子殿のふわふわ狐耳を堪能させて貰うとしよう」
「あちゃあ、そう来たかぁ〜」
それからしばらく2人は互いの耳や尻尾を存分に楽しんだのだった。