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    Lococo

    @Lococo51774193

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    Lococo

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    💎🏅のお話 二話

    眩暈と嫉妬二話 眩暈と嫉妬 (天元×天満)

    注意書き
    天元は、大学三年生で在籍中に契約でカメラマンとしての仕事を始める。
    天満は、高校二年生(もうすぐ三年生)、体操で、ダイキ先輩のいる大学に進学したい。
    橋木ダイキは、天満の先輩で、体操で有名な大学の一年生(名前は橋本選手からいただいてます)
    青山さんは、天元が所属するフォトエージェンシーの社長さんで天元を見出した人(アフロがモデルです)
    モブがたくさん出てきます
    スタジオ撮影した事ないので、かなり妄想で書いてます。スミマセン。

    写真は、構図、距離、光。そしてセンス(師匠の教え)

    *****

    「スタジオ撮影なんだけど。ファッション誌の」
    社長の青山が、お伺いを立てるように、天元の肩をとんとんと叩く。浮かない顔をしているのは、それが良くない話だからだろう。断られるのを覚悟しながらも、断られたら困りますという顔だ。
    天元は、あからさまに嫌そうな表情を向けた。当然だ。彼はスタジオ撮影は未経験であり、契約書にも、その文言は記載されていない。
    「は? 最初の条件、覚えてないんすか? 俺は屋外スポーツだけって言いましたよね?」
    天元が強気でそう言い切る。契約はしたが、これで飯を食っているわけではない。いつでも辞めますとでも言わんばかりの勢いだ。
    「…いや、そうだけども。分かってるけども。泣きつかれちゃってさ…断りきれなくて。この業界、つながり大事だからさ。ね?」
    手広く幅を利かせている、国内最大手のフォトエージェンシーの社長である青山は、写真を売り物にする事に成功した先駆者だ。今やスポーツだけでなく、CMなどの広告、フリー素材やムービーまで、世界中にネットワークを持つ。
    その青山が最近見つけ出したのが、この宇髄天元だ。芸術一家だけあって、抜群のセンスを持っている。当然、せっかく見出した逸材を手放す気はない。
    だが天元は、頑なに屋外スポーツに拘る。屋内スポーツNGはもちろんの事、スタジオなどもっての外だ。人口の光を嫌うのか、太陽の下を好むのかは、本人にしか分からない。
    「実は、ファッション誌といっても、アスリートの特集なんだって。体操の橋木ダイキ選手。彼のバーターに最近、人気が出てきた宇髄天満選手が入るんだよ。それで、ね?」
    それ以上は言わなくても分かるだろう、と言いたげに、青山は自慢の顎ひげに手を置く。
    「お前の身内だろ? あの子、カメラの前で笑わないで有名なんだよ。笑わないだけじゃなく、かなりのカメラマン泣かせだよ。欲しい画が全く撮れない」
    青山は肩をすくめた。
    「はあ…それと俺と、何の関係があるんすか。欲しい画が撮れないのは腕の問題でしょ」
    「まあ、それ言ったら身も蓋も無いけどもね〜。とにかく、宇髄天満の素の表情が欲しいんだって。頼むよ〜」

    *****

    先日のネイルの効果か、天満は注目度の高い大会で表彰台の真ん中に立った。それも最高難度の技を決めて。一気に世間が天満に視線を向けた。
    肝心のネイルは、トレーニングを重ねる度に剥げていき、大会の時には小指にカケラほどしか残っていなかったが、それでも天満にとっては十分なモチベーションになった。
    「俺は、お前が本気出したら、こうなると思ってた」
    と、銀色のメダルを首にかけたダイキが負け惜しみのように呟いて、おめでとう、と天満の頭をくしゃくしゃと撫でた。それでも、天満の表情はさほど変化せず、優勝したのに喜ばない、と関係者の間でまことしやかに囁かれた。
    ……天元、来ねえな。
    一番高い場所から周囲を見渡せど、カメラを構える人の群れの中に、天元はいなかった。
    ……クラクラする。
    無数のフラッシュが焚かれる中、天満は少し目眩を覚えた。

    *****

    天満の元に突然、撮影の話が舞い込んできた。
    ファッション誌の特集で様々なアスリートを毎月、取り上げていくらしいと、天満は協会関係者から聞かされた。オリンピックを自国で開催するとなると、多くの業界が便乗する。天満は体操界の期待の新星と映ったのだろう。外見も実力も申し分ないからだ。
    体操協会からは、体操をアピールするチャンスだから、と期待をかけられ、とにかく笑えと命を受けた。
    これだから大人の世界は…と、天満はうんざりし、一旦は断ろうとした。だが周囲からの猛反対と、主役はあくまでダイキで、ダイキを立てて欲しいと言われ、ダイキのためにも、とダメ押しされると、断る術が見つからなかった。

    *****

    「どっちが主役かわかんないな」
    ダイキが苦笑いする。
    スタジオに入った途端、ざわざわと周囲がざわめき立って、人々の視線が、一気に天満に集中した。
    モデル顔負けの容姿と、鍛え抜かれたアスリートの肉体、内側から滲み出る風格は、一流芸能人以上の圧倒的存在感を放つ。特別なオーラを放つのはダイキも同様だが、顔の造形は天満には敵わない。さらに撮影用にメイクしたその顔は、どんな女性俳優よりも美しいのではと思わせるほどだ。
    そのざわめきが、やがてヒソヒソと変化した。だんだんと異様な空気が流れて、天満とダイキの前から人だかりが掃けていく。促されるままにセットの前へ移動すると、頭ひとつ大きな男の背中が見えた。
    「…天元?」
    天満の声が思わず裏返る。
    そこには、天満と同じくらい、いやそれ以上に整った顔立ちで、ピリ、とした空気を纏った天元がいた。

    *****

    「露出計の数値チェックして」
    アシスタントらしき人物が、忙しなく動いてる。
    天満とダイキの前に、手のひらサイズの計器がかざされて、何やら数字が表示されている。
    「あ。ソレいらないんで」
    冷ややかに、天元がそれを制した。
    「え、でも露出合わせなくていいんですか?」
    「何枚か試し撮りするから、好きな色、選んで。それで撮るから」
    色というのは光の具合だ。オーバーかアンダーか、明るさはその人の好みが出る。
    慌てふためくアシスタントをよそに、天元はスタッフから撮影用のカメラを受け取った。7D、セミプロモデル。室内の静止画なら十分なボディ。
    すっと構えてシャッターボタンを半押しすると、
    ピピッ
    と高い機械音が鳴った。
    瞬間、天元は渋い顔をしてファインダーから目を離すと、徐に自分のバッグから自前のボディを出した。先程の7Dより大きく見える。バッテリーグリップが装着されているからだろう。
    「悪いけど、自分の使っていい?」
    「いいですけど、何か問題でも?」
    「音、あると集中できないから。設定、変えてもいいけど、面倒でしょ」
    そう言って、7Dのレンズをカチッと外して、自前のボディにつけかえた。レンズは純正だから不具合は無い。
    「CF貸して」
    「スミマセン、うちSDしかなくて…」
    ちっ、と天元が舌打ちした。そのまま小さな黒いカードを受け取ると、さっとボディに差し込んだ。
    その後もスタッフ達と話し込む天元を、天満とダイキは用意されたセットの前から見つめていた。
    「なあ、あの人。めっちゃお前に似てるけど親戚だよね?」
    聞くまでもなさそうだけど、とでも言いたげだが、念の為にダイキが天満に声をかける。
    「あー…、従兄弟っす。最近、カメラマンの見習いやってるみたいで」
    見習いではなく、歴としたプロフェッショナルなのだが、天満は何となく面白くなくて、そう伝えた。
    「いや、見習いの人が撮らないっしょ。しかも周りの人、完全に呑まれちゃってるよ」
    お前の従兄弟こえーな、とダイキは苦笑した。
    「それにしても、すっげーイケメンだな、お前の従兄弟。お前も顔キレイけど、怖いくらいのイケメンって感じ。あの人に写真撮ってもらうとか、なんかドキドキすんな」
    「…は?」
    急に天満が反応して、ダイキの顔を見る。明らかに睨んでいるように見えるが、天満本人は自分の表情に気づいていない。
    「えっ?なんか変なこと言った?俺」
    ダイキが慌てふためきながら、まあまあ、そんな怒るなよ、といつものように天満の肩をがっしりとホールドする。体育会系のじゃれ合いだ。ダイキは、『天満は自分よりも従兄弟の方がイケメンと言われて、俺の方がイケメンだろって怒っている』のだと思っていた。
    「いや、お前もめっちゃイケメンよ。ホント、お前サイコーにかわいい奴な」
    と、フォローのつもりで、ダイキは天満の肩に回した手をポンポンと軽く叩いた。
    「は? 誰がかわいいって?」
    声がして振り返ると、目の前に怖いくらいのイケメンが、怖い顔をして立っていた。

    *****

    「…いやホント、なんなのあの二人」
    げっそりとした表情を隠す事もせず、ダイキが呟く。
    撮影の本番はこれからだというのに、無駄に疲労感を抱えてしまった。リハだと始まった撮影が、こんなに息苦しいとは。
    天元がダイキにカメラを向ければ、わざとらしく天満がその間に割ってきては、
    「あ、ごめん」
    と意地の悪い顔をする。
    仕切り直せば、今度は天元の、物凄い睨みを効かせた左目がダイキに突き刺さる。
    ……怖っっ、俺ホントなんかした?
    居た堪れなくなって、ダイキは天満の肩に再び腕を回そうと、左手を伸ばした。いつものように、じゃれながら機嫌を取ろうという単純な思考だ。
    その瞬間、ぱん、とその左手が振り払われた。
    「痛っ」
    払ったのは天元の左手だった。
    「調子こくなよ」
    そのまま、その左手を天満の肩に伸ばして、ぐっと自分に引き寄せる。
    「お前、無防備すぎ」
    「…は?」
    面食らう天満の耳元でそう言い放つと、天元はすっと二人から少し距離を取って、カメラを構えた。
    「特に何もリクエスト出さないし、気持ち悪い褒め言葉も言わないんで。適当に、こっち見て」
    いつの間にか、天元のペースで撮影が始まっていた。
    ……えー、なんなのホント。俺いちお、主役なんすけど。
    忖度ゼロの天元と、いつもと様子が違う天満の間に挟まれて、ダイキにとっては災難な一日となった。

    *****

    シャッター音だけが静かに響いて、ストロボの光がチカチカと瞳を刺激した。
    天元に引き寄せられた時の、いつもの甘い香りが天満の脳裏に残っている。いきなりの行動で言葉も出ないのに、あの低い艶のある声で『こっちを見て』と言われたら、思考がフリーズして自分の居場所さえ分からない。
    ポーズのリクエストは周りを取り囲むスタッフ達がフォローしているが、その声すら天満の耳には入ってこなかった。
    ……なんか、クラクラする。
    天元の構えるカメラが短く発光するたび、天満は目眩に襲われた。元々、フラッシュを浴びるのが好きではない。だから表彰台でも無愛想な表情になる。
    天満は思わず目を伏せて、こめかみに手を当てた。
    「…天満。これ、イヤ?」
    天元がカメラを下ろした。
    「ん…。クラクラする」
    眉間に皺を寄せる天満を見て、天元はすぐにストロボをボディから外した。小さなボタンを押して数値を変更する。
    「またクラクラするなら、すぐ言って?もうちょっとだから、ガマンして」
    天満の頭を左手でぽんぽんと撫でると、天元は右手に持つカメラを構え直した。
    天満がチカチカした瞳のまま、天元の方に視線を戻すと、その重厚なカメラの横から、天元の左の瞳がこちらをじっと見つめていた。
    ……クラクラする。
    天満はその菫色の瞳が、自分だけを見ている事に、言いようのない興奮を覚えた。
    じっと、天満の瞳の奥を食い入るように見つめる、天元の左目から目を逸らせない。
    絡みつくような、舐めるような、体の敏感な部分に触れられているような、そんな気分になる。
    その間にも、機械的な短い音は、不定期な間をおきながらカシャ、カシャ、と鳴く。
    服を着ているのに、恥ずかしい部分を晒しているような、暴かれているような感覚が、天満を支配していく。
    これ以上目が合うと、変な声が漏れてしまうのではないか。無性に不安になった天満は、天元の左目から目を逸らした。ふと、今度はシャッターボタンを押す天元の右手が視界に入った。
    あの日のあの時の、自分の敏感なところを弄った天元の右手が、艶かしく動いた。シャッターボタンを撫でるように半押ししながら、鋭く指を下ろす動作を繰り返す。
    『ココ、気持ちい?』
    あの時の天元の声が、天満の脳裏に焼き付いて離れない。あの時の刺激を鮮明に思い出して、ぴく、と体が反応した。
    ……やば。勃ちそう。
    今の眩暈の正体が、ストロボの光ではない事だけは、はっきりと理解した。

    *****

    撮影は通常よりもかなり短い時間で終了したらしい。
    モニターで画像チェックをするスタッフ達からは、感嘆の声が漏れる。
    「…なんか、凄くない?」
    「タイミングの問題?え、構図?なんか芸術作品にみえる…」
    「…いつこんな顔したか、わかんない…」
    ざわつく編集者たちを他所に、天元はさっさと機材を片付け始めると、荷物を抱えて、アシスタントに尋ねた。
    「控え室どこ?」

    すでにダイキは帰宅の途についた後のようだった。
    控え室から出てきた天満と、天満を探していた天元はドアの前で鉢合わせた。
    「…何?」
    横目でチラッと天元を見る。
    撮影中の天元の視線を思い出して、まともに天元の顔が見れない。ダイキより帰るのが遅くなったのも、そのせいだ。妙に興奮して火照った体を鎮めるのに、時間がかかった。
    天元は、徐ろにポケットから何かを取り出すと、天満の右手を掴んで、その手のひらにそれを落とした。金属の感触。
    鍵だ。
    何も変哲もない、シンプルな。
    「…これ、」
    何の鍵?と聞く前に、天元が先に口を開いた。
    「ウチの鍵。これから留守する事、多くなるけど。いつでも好きな時に来ていいよ」
    「え、いいの?」
    「いいよ。いつでも。夜中でも」
    先日の『もう来ない!』と言った事もすっかり忘れて、天満の顔がぱっと明るくなった。
    「あ、もう時間ねぇわ。次あるから行くな」
    ちらっと時計に目をやると、ぽんぽん、と天満の頭を撫でてから、天元は足早に立ち去った。
    「…ラッキー」
    もう玄関ピンポンしなくていいじゃん、と天満は浮き足立った。単純だ。
    誰よりも美しい従兄弟が、自分を特別扱いしてくる事がどういう理由なのかは、考えた事がない。
    それでも、手のひらにあるそれが、多分、そこそこ特別である事を、天満は確信した。
    その事実の余韻なのか、眩暈のようにクラクラした。





    ***
    どうでもいい補足
    天元はスポーツ撮影用の機材しか持ってないので、スタジオ用の機材を用意してもらってます(特にレンズ)。
    スタジオなどで静止画を撮影する場合、右目でファインダーを覗いて、左目は閉じる事が多いらしいです。また、左目でファインダーを覗く人もいるらしいです。
    天元はスポーツしかも速く自由に動き回る被写体を撮影するのが主なので、右目でファインダーを覗いて、左目は開いたまま、リアルな世界を見てます。全く違う世界を、片目ずつで見るのって素人にはメッチャ難しいですが、慣れるとその方がいいらしいです。知らんけど(笑)

    最近よくファッション誌を立ち読みするんですが、そこに掲載されている写真があまりにも…で、いやもっとキレイに撮れるでしょって思ったのもあり。
    ピンの合わせ方とか、絞りとか、明るさとか。あ 解像度も低そうだし、RAWじゃ無さそうだし…とか。
    天元が撮る写真は、必ず目にピンを合わせて、背景がバランスよくボケてます。画像の荒さもなくて透明感があって人物が浮き出る感じ。をイメージしてます。そのままA全版ポスターにしても荒れないくらい。
    もちろん連写もするのでコンパクトフラッシュ(CF)を必ず使います。さらに撮った写真をその場ですぐにチェックして気に入らないのはすぐポイするので、質の良い写真しか残りません。なので撮っても100枚くらい。素人さんだと1000枚とか撮るみたいだけど、確認するだけで疲れそうよね。

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