薄暗い執務室の中でソドンのエンジンの音と隣で眠るエグザベの寝息だけが響いている。
連絡用モニターの弱い光で照らされているエグザベはぐっすりと眠っていて暫く起きることはないだろう。
ニュータイプ同士が触れ合っていれば、特に理性のタガが外れている時などは抑えきれず自ずと感情は共有されてしまうので、エグザベの抱える苦悩や焦燥、そして自分に向けられる感情は理解してるし年甲斐もなく胸を踊らせている。同じようにシャリアのエグザベに対する感情も伝わっているだろうに、どうもこの若いパイロットはそれを信じきれていないらしい。
縋るような瞳で見つめてきたかと思えば、苛立ちを隠しもせずに求めてくるのは赤い彗星への嫉妬心か、それとも自分に自信がないのか。これだけ心も体も曝け出してまだ足りないのか、と思わなくもないが何せエグザベはまだ若い。
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