ご機嫌な日ジャックが監督生を意識し出したのは、オクタヴィネル寮長のオーバーブロット事件があった後あたりからだった。
彼に対する第一印象は、どこか読めない奴から始まり、決して腹の底から信頼を置けるような人物では無かったのが本当のところだ。
胡散臭いというより、浮世離れしているような。
本当に「此処」で生きているのか分からないような。
そう、まるで幽霊のような。
なので、そう。
初めて、彼が本心から笑った姿を見た時。
そのヘタクソな笑みが彼の本心だとジャックが確信した時。
不意に、ああ可愛いな、と思ってしまったのである。
まあ、それが始まりだ。
突拍子もないことを言ったり、目を向くような行動ばかり起こしている奴だが、一度可愛いと思ってしまえば終始可愛いのである。ジャックにとっては。
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