制服 壁にかけられた二着の制服。一着はわたしの、もう一着はエランさんの。
エランさんがシャワーを浴びているいま、わたしはちょっとだけ悪いことをしようとしている。
「……よし」
覚悟を決めて、目の前の制服へと手を伸ばした。わたしのではない、ブルーグリーンのサイズの大きな制服へ。別に悪戯をするわけではないけれど、脈は速さを増し、両手はプルプルと震えていた。
彼シャツ、とか、彼ジャージ、という言葉を知ったのは、つい最近だ。なんでも恋人のシャツやジャージを自分が着るのだという。言葉通りの意味だった。
普段、恋人が身に纏っているもので包まれる。大好きな人の優しい香り付きで。それはきっと、とても幸せなことなのだろう。
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