とある神父の優雅な日常午前6時、朝日が差し込む時間に目が覚める。
万能な僕は目覚まし要らず、というか睡眠とかは必要ないけど人間の理解の為である。

午前7時、いつものようにカソックに袖を通し着替えれば神への祈りを捧げる。無論、僕が何より信じる神というのは「混沌の神/僕自身」なのだけど。

午前8時、朝食の準備をする。今日はトーストに目玉焼きベーコンレタスを具材にしたサンドイッチだ。万能であるが故料理も上手いんだな僕は。

午前9時、教会の鍵を開け掃除をする。いつ信者が訪れていいように僕は見栄えを重視する。人間も口では中身が重要とは言っているが見栄えは第一印象を裏付けるものだ。

午前10時、懺悔室に人来たれり。話を聞くに喧嘩して仲直りがしたいと言う。僕は聖職者らしくアドバイスをしてその人は帰ってった。人間とは僕達が手を出さなくても勝手に争う面白い生き物だ。

午前11時、今日は近くのミッション系の学校へ赴き、聖歌隊の練習に付き合う。万能な僕にかかればオルガンなんて楽勝さ。人間のそういう細かい付き合いもかかせない。

昼の12時、家でもある教会へ戻り昼食を摂る。昼は優雅にカルボナーラを作ったが……作りすぎた、困ったな。

午後1時、処理にも困ったので兄弟に声をかければやってきた。「自分で食事を用意するのが面倒くさい」と言い、しかもそれで餓死し続けるのだから本当に人間で言う兄弟かと疑う。まぁ人間ではないのだけれど。

午後2時、兄弟を返した後、人が来るまでの間はゲームに没頭する。人間が作り出した娯楽文化には目を見張るものがある。生存観念から見て娯楽は最悪無くても生きていけるがこういう無駄な事を作り出す人間って本当に救えない、だからこそ楽しみ甲斐がある。

午後3時、おやつの時間にパンケーキを作る。僕が作るパンケーキはそれはもう焼き目が綺麗だ。……まぁ、見せる奴がいないので1人で食べるけど。

午後4時、風が強いせいか教会の周りに落ち葉が溜まってるので箒をかける。こういったこまめなメンテナンスは嫌いじゃない。

午後5時、近くのスーパーで買い物をする。今日はそうだな、カレーにしよう。余った時のアレンジも数多くあるから僕と同じ万能なレシピだ。

午後6時、カレーを多めに作り夕飯を摂る。今日もニュースを見てはやれ人が死んだだの、人が他人を害しただのと流れる画面を見て笑う。本当に人間ってば愚かだなぁ！

午後7時、教会に鍵をかけ住居区に戻る。此処からは僕の時間、プライベートタイムというやつだ。

午後8時、信奉者から寄せられた希望書に目を通す、魔術を教えてほしい、対価と引き換えに事を成してほしい、そんな愚かしい報告書を見て笑いが止まらない。

午後9時、叶えられそうな要望を叶えに僕は各地へ飛ぶ、どいつもこいつも僕と言う神の存在を認識して媚びへつらっているのを見ると胸がすく想いだ。

午後10時、邪神タイムはこれで終わりなので再びゲームに没頭、マルチプレイしたいなと思って何人かラインを送るけど既読無視、僕が話しかけてるんだから返せよ

午後11時、未だゲーム続行中、今作のゲームは中々に面白い。ゲームの中では神である僕もプレイヤーという平等な立場だ。対等な勝負は面白…こいつ暴言クソプレイヤーじゃねぇか！

深夜0時、据え置きは飽きたのでソシャゲをプレイ中、周回、ガチャ、イベント、素材狩り、娯楽の時間泥棒という人間の欲望は尽きないものだ。

午前1時、ソシャゲも飽きたので寝る。今日は平和で(くだらなくて)平穏で(つまらなくて)楽しい(面白くない)一日だった！起きたら面白い1日が来る事を願って寝る。


「人間って心の底から無駄な努力と時間をかける生命体だ！だからこそ、僕はその欲が見たい」
「僕は優しい神/邪神だから魂が擦り切れるまで遊んでやろう、物持ちは良い方なんだ」
「欲は示された。星が揃い深淵の福音が鳴るのが先か、親父の呑気なお目覚めが先か、それとも──」
「自分で自分を滅ぼしてしまうのが先か、教えておくれ」
「僕は人類が擦り切れてなくなるまで見届けさせておくれ」
「だからずっと、僕と遊んでね。人間」