神様サンド――神の愛を少年に捧ぐ――その美しい瞳を己しか映さないようにしたい。そんな望みがいつからか空の心の内に居座っていた。いつもとは言わない。いや、言えない。だってふたりとも「神様」だった人だから。どんなに普通の人であろうとしても、長年の癖が抜けないのか、かつて治めていた国の人々を見る目はいつだって慈愛に満ちている。正に「神の目線」だ。そんな温かみのある目線を空は大層羨ましがった。あの優しい眼差しを一身に受けたい。柔らかく包み込まれたい。「神の愛情」で溶けてみたい。……そう空が思ったのは鍾離とウェンティと付き合ってから数ヶ月が過ぎた頃であった。
ある日、そんな感情を持っていた空は塵歌壺で鍾離とウェンティとの逢瀬をしていた時にふいに2人へあることを持ちかけた。
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