これまでも これからもそこからのウォロの手腕は見事だった。
サボりグセはあるものの商人として優秀だった男だ。相手の性格を見抜いてその懐に潜り込み、信用させる技術には長けている。
シマボシと口裏を合わせて、見事に彼女の家庭教師になると、あっという間にシマボシの成績を学年トップに押し上げて彼女の両親の信用を不動のものとした。
かつての彼女と同じように、厳しい言い方をしながらも根は優しく義理堅いシマボシの両親は孤児であるウォロを慮り、いつの間にか家族ぐるみの付き合いをするようになっていく。
人当たりがよく、好奇心旺盛なウォロは特にシマボシの父に気に入られ、ウォロが二十歳──という『設定の年齢』ではあるが──になった時、一緒に酒が飲めて嬉しいとまで言われた。
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