十話 黒い炎 しばらく歩いていると、公園内にある街灯の下に黒コートを身にまとった人影、オイカワさんが見えた。鴉の異形が連絡をとっていたと言っていたのでずっとここで待っていたのだろう。
彼はタバコを吸ってぼうっと立っていた。ここにきてからしばらく待っていたのか、吸っているタバコも随分と短くなっている。道中トラブルがあったせいで、合流する時間が遅れてしまっていたのかもしれない。
ある程度近づくとオイカワさんはこちらに気づき、軽く手を上げる。
「そっちは大丈夫そうだな、変なのと出くわさなかったか?」
気を遣ってくれたのか、彼は私を見てすぐにポケットから折り畳みの灰皿を取り出してタバコを入れた。
「赤い戦車が襲ってきたので対処してました。大元はどうにかなりましたか?」
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