幕間の楓恒㉗ 丹恒が此方を伺うように見ていることを丹楓は気づいていた。それは今に始まったことではなく、数日前から丹楓が丹恒の傍を離れた時に度々起こっている。
誰かと話している時や、書を書き留めている時。
だが、丹楓が丹恒の方へ視線を向けると丹恒は慌てたように尾を跳ねあがらせてパタパタと何処かへと隠れてしまうので丹楓も何も言えずただその視線を受けとめていた。
「あれ、どうにかしなくていいのか?」
今日も応星に対応していると遠くの柱に隠れようとして隠れられていない丹恒がこちらを伺ってくる。他の者にまで言われ始めてしまったのならばどうにかしなければならないと丹楓は応星へ向かって後で話そうと手を挙げると丹恒の方へ踵を返す。
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