悪夢から転じて。 ぼんやりと、閉じていた瞼を持ち上げる。
途端に眼前に広がるは、一寸先すら危ぶまれる程の闇、闇、闇───
ただただ暗く、それでいて重い。
どろりと澱んだ重苦しい闇の蔓延る空間、その中を暁人はただ茫然と歩いていた。
行き先なんてものは端から分からない。そもそも終着点があるのかすら怪しい闇の中、それでも自身の両脚が止まる事はなく。
指先、ともすれば足先から深淵に呑み込まれてしまいそうな錯覚を覚える程の深い深い闇の中、其処はとてもではないが居心地が良いとは言えず。頭や両肩にずしりと圧し掛かる重苦しい空気が、まるで肺まで圧迫しているかの様に。一歩一歩、歩みを進める度に身体は息苦しさを覚え、知らぬ間に息が上がっていく。それでも暁人はその歩みを止めず、ずるずると引き摺る様に両脚を前へ前へと押し進めていく。
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