真吾、記録書っきまーす! 自室でウンウンうなりながら一生懸命大学ノートに何文字か書いてはシャーペンを投げ出して頭を抱えて……を彼は繰り返していた。
「書けない……あまりにも書けない……!」
学校で習った作文の書き方とも普段熱心に書き込むメモとも勝手が違うことに彼は、矢吹真吾は苦しんでいた。
「書かないといけないのに……」
はぁ、と天井に向かってため息をついて、ついこの間までの奇妙な体験を思い出す。
草薙と八神の因縁の始まりとなったあの時、真吾は何の運命のいたずらかそこに居合わせる事となってしまった。
おそらく師匠である京も、その父である柴舟も知らないであろうターニングポイントを真吾だけが知っていると言う事実が真吾の胸をジリジリと焼き焦がす。
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