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    真誠の選択 〜ミコ×リドル〜
    『第1問』

    〜第1問〜



    少し歩くと、開けた場所にたどり着いた。


    ミコ「な、なんじゃこれ」

    リドル「ふぅ〜ん、この洞窟は思ったよりも広いかもしれないね。」

    ミコ「あ!あそこになんかありますよ!」

    空間のド真ん中にぽつんと置かれた紙と空き瓶と、1本のナイフ。
    動くはずのないその銀色の塊に得体の知れない恐怖を感じながらオレはそっと紙を手に取る。今回の紙にはオレの読める文字で短い文が書いてあった。

    ミコ「……喉が渇いている。どちらか一方の生命の根元を…………?聖なる銀の刃で差し出せ…………?」

    リドル「なんだい?謎解きかい?」

    ミコ「………………………………ですかね?………………生命の根元………?………………し、心臓か?」

    リドル「馬鹿、死んでしまうよ」

    ミコ「で、ですよね〜」

    まだ、自分がどうなっているのかを把握出来ていないのと先輩と二人きりという状況に混乱してしまい訳の分からないことを言ってしまった。恥ずかしい。穴があったら先輩のパンツに入りたい。

    リドル「ふむ、なるほどね。」

    ミコ「エッ?リドル先輩わかったんですか?」

    リドル「あぁ、恐らくね。これはとても簡単な謎解きだよ。生命の根元というのは多分血。そして血を、この銀のナイフを使って瓶に入れる。」

    ミコ「……………………………………は?」

    リドル「どうやらこの出題主は相当な悪趣味を持っているようだね。」

    先輩は洞窟の上方を睨みながら言葉を続ける。
    エ……顔良……好きだ…………結婚してくれ……

    リドル「こんな所に長居しても無駄だからさっさとやってしまおう。」

    ミコ「ハッ!?ちょっと待ってくださいよ!!!」

    躊躇うことなくナイフを手に持ち手袋を取り自分の手のひらに押し当てる先輩。オレは慌ててナイフを奪い取りきょとんとした顔の彼を睨みつける。

    ミコ「勝手に何してるんすか!?」

    リドル「君こそ一体なんのつもりだい?」

    ミコ「危ないですよ!先輩は下がってください!これは俺がやります!」

    リドル「いやでもこれくらいなんてことないよ」

    ミコ「ダメです。先輩が良くてもオレがダメです。オレがやります。」

    リドル「………………そうかい……なら、君にお願いするよ。終わったらすぐに治癒魔法をかけるからね。」

    ミコ「……ハイ。お願いします。」

    オレは奪い取ったナイフを自身の手のひらにあてる。あとはこのナイフを少し動かすだけでいい。
    ………………………………………………………………………………………………………………あれ………………おかしいな………………手が……動かない………………怖い……………………切るのが…………怖い……………
    ………………………………どうして……

    リドル「どうしたんだい?」

    ミコ「あっいや……なんでもないです。大丈夫です。」

    全身から汗が吹き出す。手を切って血を出す。たったそれだけの事なのに恐怖が全身を支配してしまっている。
    ナイフを握りしめていた手のひらもやがて汗でびしょびしょになり、手からナイフが滑り落ちていった。

    ミコ「あ……………………」

    リドル「本当に大丈夫かい?」

    ミコ「行けます、大丈夫です。でも…あの……オレの代わりにオレの手、切ってくれません?汗でびしょびしょで………………………………」

    リドル「…………あぁ……構わないよ。」

    先輩は一瞬困った顔をしたが、すぐにいつも通りの無表情に戻りオレの手にナイフをあてる。オレは痛みに耐えるため目をつぶり、準備をした。が、一向に痛みを感じることはなく不思議に思いながら目を開けるとそこには左手から血を流した先輩がいた。

    ミコ「!?ちょっと先輩!???なんで!?」

    リドル「怖がっている後輩の手を切るほど僕は冷たい人間じゃないよ」

    そういうと先輩は溢れる血を瓶に流し込んだ。瓶にゆっくりと溜まっていく血。オレはどうすることも出来ずにただ、立ち尽くしていた。

    リドル「……ふぅ…………これでいいかな……」

    瓶がいっぱいになってもオレはどうすることも出来ずに血塗れの手を見つめていた。

    リドル「……寝ているのかい?」

    ミコ「あ………………いや……起きてます……」

    リドル「なら行くよ。体がでかいだけじゃ何の役にも立たないよ。」

    ミコ「先輩…………手……………………」

    リドル「あぁ、問題ないさ」

    先輩がマジカルペンをひと振りすると瞬く間に傷と血は消え去り、いつもの先輩の手に戻った。手袋をはめ直す先輩を見ながら情けない気持ちでいっぱいだった。

    ミコ「…………すみません……オレ……役立たずで……」

    リドル「ふふ……こんなことで役立たずだなんて、いつもの元気はどこに行ったんだい?」

    ミコ「……でも…………怪我………………」

    リドル「治ったのだから気にしないでくれ。君が静かだと僕まで調子が狂う」

    ミコ「ウ………………すいません」

    リドル「ほら行くよ……早く外に出よう」

    また先を行く先輩の背中を見ながらオレは暗い気持ちで先に進んで言った。
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