夜の攻防戦 虎がオレを睨んでいた。
初めて目が合った瞬間から、虎はオレのことを嫌っている。
お前のご主人様は今オレに啼かされているというのに。
「ん、ぁんっ、ひぁッ…!」
欲にまみれた音に重なる一虎の熱い声。
汗と唾液と精液が混ざり合ったセックスの匂いが鼻を刺激する。湿った肌がぶつかり吐いた息がお互いにかかるだけで部屋の湿度は高くなっていく。
一虎の蕩けた瞳がオレを射抜く度に、一虎の中にオレの欲を吐く度に、一虎の肌にオレのモノだという証をつけたくて堪らなくなる。だが虎がそれを許さない。虎はいつだってオレのことを睨んでいる。まるでオレから一虎を守るように。
虎と目が合った瞬間、またもやオレはあの時のことを後悔した。
1558