Blind Black目を瞑って、暗闇
わたしの名前は、ビアンカ。
母国の言葉で白を表す私だけれど、その名前に特に思い入れはない。白って言うより、無色透明、本当にそんな感じだ。生い立ちの話をすると、少し長くなるし誰かに話すべき話でもない。
悪魔の実を食べてしまったせいで、人生がこんがらがったり逆転して幸せを掴んだり、目玉が飛び出る価値で取引される貴重な実を奪う為に、殺されてしまったり───、名前の通り"悪魔の実"は悪魔を生み出す実に違いない。
さてさて、本当にたまたま偶然食べてしまった私はどっちだったかって?
ジャミジャミの実、それが私がひもじくて齧ってしまった果実の名前だ。果実だったのかすら危うい、なんて表現したら良いのか腐った牛乳を拭いた雑巾を更に三日干さずに放置していた味が正しい。悪魔も食べられたくないから、あんな奇妙な見た目で白目を剥くような味なんだろうけれど、餓死寸前の人間の貪欲さの方がそれを上回っていたってことになる。
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