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    まりも

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    まりも

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    🐸の帰国があります
    ちょっと暗い

    ##恭ピエ

    いつか 誰かに会いたいと思うなんていつぶりだろうか。アイドルになりたての頃はよく思っていた気がする。祖父母や蛍に会いたかった。でも、その願いを叶えられるようになってからは、そんな風に思うこともなくなった。
     そんな俺の頭の中を占めているのはユニットメンバーのピエールで、なぜならあいつの身元が明るみに出てしまったからだ。ある日、芸能雑誌にすっぱ抜かれて、それからは関係ない仕事でも針の筵だった。インタビューでも「国でできることがあるんじゃないでしょうか!?」なんて質問が飛んで、ピエールの顔色も真っ青だった。俺とみのりさんとプロデューサーはフォローすることしかできなくて、でもきっと、一人で抱え込んでいたことを指摘され続けたのは堪えたのだろう、ピエールはどんどん追い詰められていった。
     ある日、ピエールの父親が亡くなった、とニュースで知った。その日、ピエールに会うと、赤くなった目元を隠さず、「ボク、国に帰る」と言った。
    「でも、王位継承権の争い中なんだろ?帰ったら余計にまずいことにならないか?」
    ピエールはにこ、と微笑む。それが今まで見た中で一番元気のない笑顔だったから、胸が痛んだ。ここまで、傷つけてしまった、周りが。
    「ボク、何もなかったようにここにいる、逃げだと、思う」
    大きく息を吸って続けた。
    「ボク、ファンのみんな、笑顔にしたい!でも……もっと、ボクの国のみんな、笑顔にしたい……!」
    もっと守ることができたら、ピエールはそんな決断をしなかったかもしれない。でも、ピエールがずっと悩んで出した答えなことも伝わってきて、俺たちにそれを止めるなんて無理だった。
     そうして、ピエールは帰って行った。
     たまに連絡をする。LINKは海外でも顔を見て話せて便利だ。でも、なんとなく当たり障りのない会話だけしか今はできない。ピエールの覚悟を知ってるから。
     いつかきっと、話すんだ。日本に帰ってきて、アイドルをやらないか、って。ピエールが、国民を笑顔にして、胸を張ることができるようになったら。俺が、「何からも守るから」と言えるようになったら。
     条件が多すぎて途方に暮れる。それでも、また必ず会えると知っているから。
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