今夜はカレーエプロンを身に付け、台所に入る。
今日は兄上と僕しかいないし、久しぶりにカレーでも作ろうかな。確かさつま芋もあった筈だから、じゃが芋代わりに入れてもいいかも。きっと兄上、喜ぶだろうなぁ。好物を頬張る時の兄を思い出し、くすくす笑いながら棚の中にあるカレールーを取り出そう…として、ふと気付く。あれ、カレールーがない。いつもはこの棚にストックがあって、昨日も夕食の手伝いをした時に見掛けた筈なのに。おかしいな…と振り返ったその先に、兄が立っていることに気付く。その右手に握られた"それ"を目にして、思わず僕は叫んでしまった。
「あ、兄上…!?何故兄上がカレールーを…?」
「うむ、偶然今朝見つけてな!」
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